レーダー照射問題、「千載一遇の好機」を逃したかもしれない「強い意向」
2019.01.15
牧田寛
過去2回にわたり、韓国駆逐艦広開土大王による海自哨戒機への電波照射インシデントについての検証を行ってきました。今回はあのインシデントが持っていた「意味」について考えてみたいと思います。
日本側にとって「好機」だったはずのインシデント
昨年の暮、引っ越しの段取りが狂って右往左往していた最中に韓国駆逐艦広開土大王が、海自の哨戒機に電探照射したという報道が目に入りました。
当初私が抱いたのは、「あぁ、また優秀世界無比を誇る海自のP-3Cが公海上でしつこくし~~~~~つこく低空飛行して、たまりかねた外国艦艇から仕返しされたな。しかし、イルミネーターや射撃電探とは穏やかでない。明らかに当該国の交戦規定(ROE)違反で、艦長か火器管制士官は重営倉入りか予備役送り、最悪、不名誉除隊だな。外交上は、貸しをいっぱい作る千載一遇の好機だ」という感想でした。
制度上、何重にもインターロックがかかっていても、現地の指揮官が意図的にROEを破れば破れないことはないわけで、その具体例は満州事変でしょう。フィクションの世界では「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」が代表と言えます。(私は、劇中のストレンジラヴ博士を師と仰いでいます。)
過去、前線指揮官の暴走や兵士の激発により戦端が開かれて泥沼化し、多大な犠牲を生じた紛争や戦争は数多くあり、それが故にROEなどが整備され、外交やそれ以前の実務者協議という紛争解決手段を整えてきたのは人類の英知と言えます。冷戦時代、偶発核戦争の恐怖は大変に大きなものでそれが故に米ソ間には、国家元首間のホットラインまで整備されてきています。
今回は、友好国である韓国海軍が相手ですので、射撃電探照射なら実務者協議でケリを付け、国会の委員会報告で文民統制の形式を整えれば終わり。イルミネーター照射なら、外交案件として、韓国政府より遺憾の意を取り付け、再発防止のための日韓委員会を作ることで終わりと考えておりました。韓国は陸軍国ですが、広開土大王の就役以降、外洋海軍化を進めており、日韓海軍の調整組織を作る必要がそろそろ出てきていると思われますので、日本主導で事を運ぶ千載一遇の好機だったと言えます。
いくら海自のP-3C(実際は最新鋭機P-1、当然クルーも世界超一流)がしつこくブンブン低空接触飛行したとしても、射撃電探照射は行き過ぎで、イルミネーター照射に至っては、絶対にやってはいけないことです。イルミネーター照射まですれば、P-3C(実際にはP-1)がほうほうの体で逃げ去った後、築城基地からF-2(世界最強と言っても良い対艦攻撃機)が大挙して押し寄せて、韓国艦船が逃げ出すまで回りをグルグル飛行したかもしれません。
防衛省は、実務者協議で最近ギクシャクしている韓国に貸しを作る絶好のチャンス、外務省も同様に千載一遇の好機です。これは韓国海軍からのビッグなクリスマスプレゼントかお歳暮であって、最大限活かすのが官僚の仕事だとワクワクしながらことの推移を見守っていました。
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