カルロス・ゴーン氏弁護団会見で露わになった、日本の司法の前近代的システムに海外メディアが驚愕

「人質司法」という人権無視の横行

特派員協会 (Large)

会見につめかけた多くの海外メディアが、日本の司法の現状に驚いた

 大鶴弁護士は次のように答えた。 「検察は11日までにはおそらく間に合わないのではないかとは思いますけれども、司法共助という仕組みもありますので、公式にサウジアラビア政府に要請をして、ミスターEさん(ジュファリ氏)の話を聞けるように、たぶん手続きを進めていくのではないかと思います。そこは分かりませんが、そうではないかと思います。 それから先ほど、裁判が終わるまで保釈が認められないのではないかというようなご主旨のお話がありましたが、本件でいうとどうなるかがまったく分かりません。分かりませんが、一般的にいうと、第1回公判までは保釈が認められないケースが非常に多いです。 これを“人質司法”などと呼んで、弁護士は強く批判しているわけですけれども、『裁判が終わるまで保釈が認められない』ということはたぶんなかなかないだろうと。 ただ、この事件で第1回公判がいつになったら開かれるのかなんとも分かりませんが、仮に金融商品取引法違反の起訴と、それから今回の特別背任だけであったとしても非常に難しい事件です。かつ証拠も英語のものも日本語のものも、いろいろ混在していますので、第1回公判が開かれるまでたぶん半年以上はかかるかもしれない。 一般的には特別背任を全面的に否認していると、少なくとも第1回公判までは東京地裁の令状部は保釈を認めないケースが多かろうと思います。それは弁護人としていちばん懸念しているところですし、その話はゴーンさんにもずっとしています。ゴーンさんもそれは非常に困ったことだというふうに考えておられると思います」  大鶴弁護士は「裁判が終わるまで勾留されることはない」と楽観的に語ったが、特捜に詳しいあるジャーナリストは「保釈を認めない最大の理由は、証拠隠滅の恐れです。この理屈では、ゴーン氏が容疑を認めない限り、判決が出るまでの勾留を許すことになりかねない」と警告する。  特捜vs.ゴーン氏の全面対決が幕を切って下ろされた。事件はどうなるのか、今後も目が離せない。 <及川健二(日仏共同テレビ局France10記者)>
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