海外メディアはどう見たか。米国CNNは「追い出された日産会長のカルロス=ゴーン『私は無実』と話す」、『ニューヨーク・タイムズ』は「ゴーン氏無罪を主張」とゴーン氏側に立った記事を配信。AFP通信は、手錠と腰縄を付けてスリッパ姿で入廷したゴーン氏について「7週間に及ぶ東京拘置所での生活が活力を奪った」と伝えた。
フランス紙『フィガロ』の記者からは、会見でゴーン氏の拘置所での処遇について質問が出た。
「元検察官として今回は違う側で事件に関わっているが、拘置所の中では話すことも立つこともできないなど聞く。拘置所の中の状況は正しい扱いなのか。それは本当の意味での正義なのか」
海外メディアは総じて、日本の司法の前近代的なシステムを批判的に報じた。そして、2時間に及ぶ会見で最後に質問に立ったのは作家の田中康夫・元長野県知事だった。
「今、法廷でのやりとり、あるいは大鶴基成弁護士のお話をお聞きしていると、私は不起訴となる蓋然性も極めて高いというふうには思っておりますが、しかしながら日本の特捜部の蓋然性として、起訴というものも少なからず高いという中でお聞きします。
今回、起訴が仮にされるという場合に、サウジアラビア中央銀行の理事でもあられる方の側への送金が特別背任に当たるという場合、このハリド=ジュファリ氏に対する東京地検特捜部の聴取は未了のままでの起訴ということになるわけでありまして、また今後も証言を得られる見通しというものは極めて低いという中で、起訴および裁判という展開になるかと思います。
この場合に、なおもカルロス・ゴーン取締役の保釈に検察が反対し、東京地裁も保釈請求を却下した場合、このジュファリ氏との証人尋問が実現しない限りは、ゴーン取締役は裁判が終わるまで保釈されないという、およそ法治国家としてはあり得ない深刻な事態に陥るということが考えられます。
こうした場合に検察側が出る、こうした行動に検察側が出るという可能性に関して、弁護団としてはどのようにお考えになっているでしょうか。
また、保釈請求が却下された場合に、これに対して具体的などのような対応を取られるのか。現状、本日お越しの3名の弁護団の体制で今後も対処されるのか、この点をお聞きしたいと思います」(田中氏)
フランスの経済事件は逮捕されても1日2日で出所する。ゆえに「裁判が終わるまで保釈されない」という可能性があるという田中氏の発言に対して、海外プレスからはざわめきが起きた。