さて、このように分解スキルを見極めて反復演習しても、うまくできない場合がある。問題に直面したら、その問題そのものも分解スキルの考え方を使って、元になるスキルを見極めて反復演習すればいい。
「相手の目を見て話せない」という問題を反復演習した人から寄せられた質問に次のようなものがある。そして、それに対する私の回答は以下のとおりだ。
質問:上目遣いになってしまう
相手と話していて、ときどき相手を見なければいけないと思い、顔を上げるように努めています。しかし、顔を上げるたびに、上目遣いになって、みすぼらしいと言われてしまいました。どうすればよいのでしょうか?
回答:背筋を伸ばすことから始めましょう
上目遣いを直そうと思って一生懸命視線を調整してみても、問題は解決しません。上目遣いになっているのは、視線の問題ではなく、背筋が丸まっていたり、前かがみになっていたりすることがほとんどです。もし、そうならば、背筋を伸ばすことを心がけてみることをオススメします。
表情を直そうとする場合、直接どうにかしようとしても直らないことが多いです。そのため、表情を生んでしまう元となるスキルを見極め、それを修正すれば自然に修正できるでしょう。
このように、ときどき顔を上げようとすることを実践し始めたが、上目遣いになってしまうという問題は、実はよくあるケースだ。しかし、そこで上目遣いを直そうと思ってもなかなか直らないし、そう思えば思うほど動作がぎくしゃくしてしまうものだ。
背筋を伸ばすというコアスキルを実施することを心がけていくと、自然と上目遣いはなおってくる。上目遣いが直ってくると、相手にさらに親しみを感じてもらいやすくなる。スキル向上のいい循環が回り始めるのだ。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第118回】
【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(
単行本、
新書、ともに扶桑社)、『
99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社)、『
ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある