ブラックメタルを通じて、東欧の政情や歴史を知ることができる!?
白塗りメイクで反キリスト教的な歌詞をがなり立てる、特異な音楽性が世界中のコアな音楽ファンを惹きつけてやまないブラックメタル。なかでも東欧各国では独自な変化を遂げたバンドたちが活躍しており、一部熱狂的なファン層を確立している。
前編では『東欧ブラックメタルガイドブック2 ウクライナ・ベラルーシ・バルト・バルカンの暗黒音楽 』(パブリブ)の著者である岡田早由氏に、東欧各国の歴史や政情を中心に解説していただいた。
後編となる今回は、主に音楽面に着目していきたい。まず、数々のバンドを取材してきた岡田氏だが、なかでも印象てだったのはウクライナのバンドだそう。いったいなぜ?
「ウクライナのBurshtynはペイガン・フォークバンド。創設者でもあるI.Z.V.E.R.G.さんは日本の武士や侍文化に非常に興味があるようで、おそらく私よりも武士道に精通しているようでした(笑)。昨年にはポーランドで行われたライブでお会いしたのですが、バンドのTシャツをプレゼントしてくれたり、一生懸命ロシア語(彼の住むハルキウではウクライナ語よりロシア語が話されている)で話しかけてきたり、お酒をご馳走しようとしてくれたり、とても楽しい時間を過ごすことができました」
東欧のブラックメタルバンドで武士道に精通している……。かなり情報量の多いバンドだが、日本人としてはチェックしてみたいところだ。
続いて、初心者が実際に聴いてみるにはどんなバンドがオススメなのだろう?
「まず、ビギナーにはNokturnal Mortumの『Істина』ですね。ウクライナで一番人気といってもいいブラックメタルバンドで、結成当時はアンダーグラウンドな香りが漂うブラックメタルを演奏していたものの、最近は演奏力もしっかりしています。曲調もキャッチー、とてもメロディアスで聴きやすいです。このバンドのフロントマンのKnjaz Varggothは、Aryan TerrorismというNSBM(国家社会主義)バンドをやっていたこともあり、常にネオナチ疑惑がかかっていますが、最近のNokturnal Mortumはネオナチの片りんすら感じさせません」
ブラックメタルから学ぶ東欧の歴史
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