全国各地で起きつつある「地方スーパー」再編。2019年は「業界再編の1年」に?

全国各地で起きつつある「地方中堅スーパー」再編の波

 1990年代後半から2000年代にかけて、当時大手総合スーパーであった「ヤオハン」「マイカル」「ダイエー」などが相次いで経営破綻を起こし、イオングループを軸とした業界再編が起きたことは記憶に新しい。また、「西友」が米国ウォルマート傘下に、「長崎屋」がドン・キホーテ傘下になったのもこの頃だ。
サティ

かつて存在した「生活百貨店サティ」や「ワーナーマイカル」を懐かしむ人は少なくないだろう(山口県防府市)

 一方で、長年に亘って「地域の雄」であり、また各地域ごとの食文化に深く精通している「地方中堅スーパー」の広域再編は、総合スーパーほど進まなかった。  しかしここ数年、とくに地方では大手ディスカウントストア、スーパードラッグストアとの価格競争が激化しており、中堅スーパーにおいても業界再編の動きが活発化している。  2018年10月には、大手ディスカウントストア「ドン・キホーテ」(目黒区)が、中部地方を地盤とする大手総合スーパー「ユニー」(名古屋市)を完全子会社化することを発表。同社はユニーの総合スーパーのうち半数前後をドン・キホーテとのコラボ店舗に転換することで経営の立て直しを図るとしている。  また、同じ10月にはイオングループがイオン傘下となっている地方の総合スーパー・食品スーパー14社をエリアごとに再編することを発表している。イオン系列企業の再編といえども、このなかには「光洋」(大阪市)、「マルナカ」(高松市)など近年イオン系列となることで経営の安定化を目指した老舗の地方中堅スーパーが含まれていたため大きな話題を呼んだ。
光洋

かつて高級志向のスーパーとして知られた「光洋」(大阪市)も「イオングループ再編」に参加、企業としては消滅する。なんと2020年からはイオン傘下の大手スーパー「ダイエー」の運営となる

 人口密集地であり比較的堅調なスーパーが多い首都圏でも、2015年3月にイオングループのスーパー「マルエツ」、「カスミ」、「マックスバリュ関東」の3社が「ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス」を設立して経営統合。2017年4月には埼玉県・千葉県を地盤とする食品スーパー「ヤオコー」(川越市)が神奈川県を地盤とする食品スーパー「エイヴイ」(横須賀市)を、同年11月には関西地方を地盤とする食品スーパー「フレスコ」が川崎市周辺を地盤とする食品スーパー「ベンガベンガ」(川崎市)を子会社化している。  さらに、こうした業界再編の動きは、大手スーパーと対峙する規模のローカル総合スーパーが乱立している西日本各地にも及びつつある。  2016年10月には「イズミヤ」(大阪市)が親会社のエイチ・ツー・オー・リテイリングを通じて「セブン&アイHD」と業務資本提携を、2018年4月にはゆめタウンを展開する「イズミ」(広島市)が「セブン&アイHD」が業務提携を、同年10月には「フジ」(松山市)が「イオングループ」と業務資本提携することを発表。このほか、2017年9月には「マルショク・サンリブ」(北九州市)がグループ再編を行い、中核企業2社の経営統合を行っている。
ゆめタウン別府

イズミの店舗「ゆめタウン別府」(別府市)。旗艦企業であり総合スーパー「ゆめタウン」を展開する「イズミ」を中核として、西日本で多くの中堅スーパーを傘下に持ち、イオンを脅かす存在となっている

エミフル松前

フジの旗艦店「エミフル松前」(愛媛県松前町)。愛媛県の「県内一番店」だ

 これらの提携は流通大手が相手といえども、イズミヤ、イズミ、フジともにそれぞれの経営内容が大きく変わるほどには至っておらず、提携はあくまでも「他の大手に飲み込まれない意思を示すため」であるといえる。もちろん、マルショク・サンリブのグループ再編も、大手に飲み込まれないための経営基盤の強化であるといえよう。
サンリプシティ小倉

サンリブの本店である「サンリブシティ小倉」(北九州市)

 その一方で、一定規模の企業の傘下に収まっていない地方のチェーンスーパーの経営は苦しさを増している。ここ約1年間のあいだでも、2017年12月の「やまと」(山梨県韮崎市)、2018年6月の「サニー椿」(愛媛県松山市)、8月の「鶴屋」(広島県尾道市、末期は本店のみ)、12月の「ヤマサンセンター」(愛媛県西条市)など、かつて地域に広く展開し、長年親しまれてきた中堅スーパーが相次いで経営破綻、もしくは経営再建へと陥っている。
サニーTSUBAKI

経営破綻した「サニーTSUBAKI」の店舗(松山市の道後店)。プレミアム商品券を販売した直後の破綻であったため、店には多くの客が押し掛ける騒ぎとなった。現在はフジなどの支援により経営再建中、営業を再開している

 突然の発表でありながら、生まれるべくして生まれたともいえる今回の「新日本スーパーマーケット同盟」。  同盟は「他の地方独立系スーパーの参加も受け入れる」としているが、果たしてこの「同盟」が2019年における地方中堅スーパー業界再編の切り札となりうるのかどうか、そして別のかたちで更なる新たな「同盟」が生まれることになるのか-2019年のスーパーマーケット業界の動向が注目される。 <取材・文・撮影/淡川雄太 若杉優貴(都市商業研究所 都市商業研究所 若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken
都市商業研究所 若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken
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