中国での身柄拘束、スパイ容疑とそれ以外では扱いに雲泥の差

中国公安のパトカー

公安のパトカー

 12月21日にロイターが配信した記事を読んで背筋が凍った。その理由は、中国でスパイ容疑により拘束されているカナダ人たちの扱いが今から3年ほど前に聞いた話とほぼ同じだったからだ。(参照:毎日聴取、夜間消灯できず=中国で拘束中のカナダ人-ロイター–時事通信)  3年ほど前、中国の地方政府の役人と食事をしていたときに、役人からスパイの容疑者を担当する国家安全局(中国語だと国家安全部)での容疑者の扱い方の一部を聞いた。  スパイの容疑者は基本的には他人と接することがないように個室で収監される。早朝から深夜までおよぶ取り調べは毎日行われ、消灯時間はなく室内電灯は24時間つけたままで、寝るときは仰向けで室内灯を向いて寝なければいけない。  極めつけは、面会制限で、親族はもちろん弁護士の面会、接見も禁止される。唯一面会できるのは、大使館の関係者のみでそれも月1回のみとなる。むろん差し入れの類は一切できない。  中国は国際的な人権軽視や虐待との批判をかわすため肉体的には一切手を出していないことを強調している。確かに直接の拷問や虐待ではないが、これではメンタルヘルスを崩壊させる手段を用いて取り調べをしているとしか思えない。  国家安全局だとそのような扱いとなると地方政府役人から聞いたとき著者は、「本当にそこまでやるのか?話を盛って大げさに話しているのだろう」と思っていた。  それが現実に行われていることが拘束中のカナダ人と面会したカナダ大使館関係者の話としてロイター通信が伝えたのだ。
次のページ
スパイ容疑とそれ以外の拘束では扱いに差
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会