映像で確認する「ご飯論法」(初級編)。高プロが労働者のニーズに基づくという偽装を維持した詐術
虚偽答弁にならないギリギリを狙う「ご飯論法」
この冒頭のやりとりを分解すると、こうなる。 ●質問者は、相手が「朝ごはん」を食べたかどうかを知りたい。 ●答弁者は、パンを食べていたが、それは言いたくない。 ●答弁者は、答弁拒否はできない。また、虚偽答弁もできない。 ●そこで答弁者は、「朝ごはん」について問われているのに「ご飯」について問われているものと勝手に論点ずらしを行い、「ご飯は食べませんでした」と、断片的な事実を語り、パンを食べたことを隠す作戦に出る。 ●そして答弁者は、あたかも何も食べていなかったかのように誠実そうに答弁することによって質問者を騙し、それ以上の追及が寄せられることを防ぐ。 ●質問者は、誠実に答弁されたものと考え、何も食べなかったのだなと誤解する。 ●答弁者は、「しめしめ」と思いつつ、それを顔に出さない。 「ご飯論法」とは、そういう、騙す意図を伴った悪質な不誠実答弁を指す言葉なのだ。なのに、朝日の社説では「朝ご飯は食べていない」となっている。これでは虚偽答弁だ。「ご飯論法」の悪質さが理解されていない。 また、これまでメディアで「ご飯論法」が紹介される際、「ご飯は食べていないよ。パンは食べたけど」のように紹介されることもあったが、これも違う。パンを食べたことは徹底して隠す、不都合なことは隠し通す、それが「ご飯論法」なのだから。 こう書くと、「そんなに説明が必要でわかりにくいものを流行らせようとするのには無理がある」というリプライが寄せられることがある。 いや、流行らせたいわけではないのだ。こういう悪質な騙しの手法が国会でまかり取っていることへの認知を広げたいのだ。これがどれほど悪質な手法なのかを、正確に、腑に落ちる形で、理解していただきたいのだ。そして多くの方に、「またご飯論法だ」と、答弁に潜む「ご飯論法」に自分自身で気づけるようになっていただきたいのだ。そうして初めて、国会から「ご飯論法」を駆逐することができる。 というわけで、朝日新聞の社説を執筆された方にも読んでいただいてご理解いただけるよう、以下、筆者が代表を務める「国会パブリックビューイング」の国会審議映像を使って解説したい。実際の国会審議で駆使されている「ご飯論法」を、初級編・上級編の2回にわたって取り上げる。Q「朝ごはんは食べなかったんですか?」
— 上西充子 (@mu0283) 2018年5月6日
A「ご飯は食べませんでした(パンは食べましたが、それは黙っておきます)」
Q「何も食べなかったんですね?」
A「何も、と聞かれましても、どこまでを食事の範囲に入れるかは、必ずしも明確ではありませんので・・」
そんなやりとり。加藤大臣は。
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