虐待されていた4頭の宮古馬がついに救出。しかし、いまだ楽観視はできず

補助金を打ち切っていた沖縄県の再支給は2020年4月から!?

 説明会に参加した飼養者たちからは、特に補助金の不足について県や市に対して厳しい意見が相次いだ。 「人件費が欲しいなんて言わない。せめて馬を生かすために最低限の餌と施設を用意してほしい。台風だってあるのだから……」 「今のままでは、預かる馬を増やせば増やすほど赤字になる。これでは守りたくても守れない」 「天然記念物に決めたのは県なのに、なぜ丸投げにするのか? 県にもっと助けてほしい」 「市は年に何回かは飼養者を回って、様子を見たり意見をちゃんと聞いたりしてほしい」  宮古馬が天然記念物に指定された当初は、沖縄県は補助金を出していた。しかし、1997年(平成9年)に「再生事業が軌道に乗った」として打ち切っている。今後については、「補助金は保存計画がないと出せないので、2019年6月をめどに保存計画を提示する。それに基づいて補助金の金額を決めるので、支給は2020年4月からになる」と県は回答した。  これに対して、飼養者から「それまでに絶滅するようなことになったらどうするんだ?」と問われ「その場合は緊急に再生事業として対応する」と答えた。  一方、宮古島市は2019年1月下旬に申請し、3月の議会で承認されれば予算の増額が可能とのこと。飼養者説明会では、「虐待報道を払拭する取り組みを前向きにしていこう」(教育長)と、今後の方向性が確認された。

S氏は宮古馬を手放すことに抵抗するが、ようやく解放

元気なシンゴ(右)

新しく移った牧場で、おいしそうに草を食べるシンゴ(右)

 飼養者説明会後、6頭が自主返還となったが、うち2頭については飼養者が思い直して飼いつづけることになった。そして、虐待者として問題になったS氏とN氏が飼っていたあわせて4頭の宮古馬だけが、別の場所に移されることになった。  S氏の1頭は、宮古馬保全にまじめに取り組む飼育者のもとへ。N氏の3頭はまだ飼養者が確定できないため、市が厩舎を借り受けて、そこをいったん避難所として移されることが決定した。  しかし、馬が移されるまでの経緯はそう簡単ではなかった。  N氏は「明日にでも手放したい」とのことだったが、S氏は「(管理契約更新の)3月31日まで手放さない」と言い始めた。3年間で5頭が死んでいるS氏のもとには、10年にわたって一度も馬房から出してもらえない牡馬が1頭暮らしていた。 「そこにあと3か月も置いておけば、この馬も死なせてしまうのでは?」と抗議の声があがっていた。他の飼育者からの説得もあり、面倒になったS氏は「明日にでも連れていけ!」と返還に応じることになった。  12月27日、S氏のもとでただ1頭生き残っていた牡馬のシンゴは、新しい飼い主のもとに手渡された。狭い馬房に閉じ込められ、外に出たことがなかったシンゴは大興奮。全身で喜びを表している。
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悪質飼養者を巡る市の対応に疑問
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