12月20日に行われた、辺野古埋め立て反対のNGO共同記者会見。筆者撮影
政府が沖縄県名護市辺野古で建設を進めている、米軍の新基地。先の沖縄知事選で辺野古新基地反対派の玉城デニー知事が圧倒的大差で勝利し、民意は示されたにもかかわらず、政府は12月14日、辺野古・大浦湾の埋め立てのための土砂投入開始を強行した。これに対し、本土の市民団体や環境NGO等からも批判の声が上がっている。12月20日、8つの団体が共同で記者会見を行った。
会見では、元軍人による平和団体の日本支部「ベテランズ・フォー・ピース・ジャパン」共同代表で、自身も元自衛官である井筒高雄さんが「米国政府監査院(GAO)も、辺野古新基地の実用性を疑問視している」と語った。
「現状の普天間基地に比べ、辺野古の新基地建設計画は滑走路が短く、実用に耐えないとGAOは指摘しています。ベテランズ・フォー・ピースは、辺野古新基地の建設予定地の地盤がまるでマヨネーズのように軟弱なこと、活断層の存在も指摘されていることなど、新基地建設の諸問題について、さらなる実体調査を行うよう、GAOに要請しています」(井筒さん)
「海の豊かさを守る」というSDGsの目標にも反している
ピースボートは、辺野古新基地建設に対し「海の豊かさを守る」というSDGsの視点からも反対している(野平さん提供)
国際交流・平和団体のピースボート共同代表の野平晋作さんも、約260種の絶滅危惧種を含む5800種以上の海洋生物が生息している「生物多様性の宝庫」である辺野古・大浦湾を埋め立てることは、日本が官民あげて推進するSDGs(持続可能な開発目標)に反すると指摘。
「SDGsは、国連加盟193か国が2016年から2030年の間に達成すると掲げた目標で、日本政府も目標達成を約束、安倍首相や閣僚達もSDGsのロゴバッジを身に着けています。SDGsの17の目標のうち、14番目は『海の豊かさを守る』というものです。辺野古の海を埋め立てることは、このSDGsの目標と矛盾します。安倍首相が『沖縄に寄り添う』と言いながら沖縄の民意を無視していることは、『持続可能な成長を推進し、その豊かさと幸せを皆で共有する』というSDGsについての安倍首相自身の言葉とも真逆のことです」(野平さん)
「辺野古・高江を守ろう! NGOネットワーク」の花輪伸一さんは「安倍政権は全く法律を無視して自然を壊す、平和を破壊する、地方自治や地域の人権をないがしろにする」と憤る。沖縄県は、仲井真弘多・元知事が行った辺野古沿岸部の公有水面埋立承認を今年8月末に撤回した。
ところが、これに対し防衛省は今年10月、行政不服審査法により沖縄県側の埋立承認撤回処分の執行停止を求め、同月に石井啓一・国交相は防衛省側の言い分を認めたのだ。一連の政権側の動きを花輪さんは「行政法の悪用」だと批判する。行政府不服審査は本来、私人救済のための制度であり、国側が使うものではないからだ。
「(辺野古埋め立て承認撤回を、安倍政権が行政不服審査で無効化したことについて)行政法研究者110人が声明を出したように、これは全くの違法行為です」(花輪さん)