南アランド、2019年は対米関係に注意しながら「押し目買い」戦略が吉

 英国でのBrexit(英国のEU離脱)が山場を迎え、欧州通貨が大荒れだった’18年。その一方で、米ドル/円は、変動幅が過去10年間で最低を記録。難解なチャートを前に、思うようなトレードができなかった人も多かったはず。中国経済の影響を強く受けている豪ドル、今年大暴落したトルコリラや新興国通貨も、動向を予想していなければ太刀打ちすることは難しいだろう。  そこで、各通貨の専門家&スゴ腕トレーダーが、’19年の戦略を一から解説。波乱の相場を乗り切る【FXの勝ち方】を、頭にたたき込もう。

南アフリカランドは6%超の高金利狙いで押し目買いの好機を探れ

「’19年の南アフリカランドは政局に左右されるでしょう。2月には予算案が提出され、5月にはラマポーザ政権初となる国政・地方選挙が控えているからです」  こう話すのは新興国通貨の分析に長けた外為どっとコム総合研究所調査部長の神田卓也氏。果たして、選挙は買い材料なのか、売り材料なのか? 「’18年2月に当時のズマ大統領が事実上、汚職で辞任してラマポーザ政権に変わることが決まったときは、改革期待から南アランドは大きく買われました。ところがその直後にランド/円は9.2円の高値をつけて下落トレンド入り。新政権下で改革が進まず、失望売りに押されて下げ続けたのです。通常なら選挙に向けて打ち出される景気刺激策がランドの買い材料となりやすいのですが、新政権の期待感が剥落しているので、上値は限定的でしょう」  やや買い目線、といった具合か。そこには対米関係の悪化が影響している。 《2019年南アフリカ注目イベント》 ①2月予算案 GDP成長率が低下しているなかで、景気を刺激しつつ財政健全化に配慮したバランスの取れた予算案が出てくるか否か? ラマポーザ政権に対する当初の期待は剥落してきただけに注目度が高い ②5月総選挙 前大統領を辞任に追い込んだ’18年2月に誕生したラマポーザ政権の1年が問われる選挙。与党・アフリカ民族会議(ANC)が議席を大幅に減らせば、構造改革が遅れるリスクが高まり、ランドの売り材料に ③対米関係の悪化 5月の総選挙に向けて支持を取り付けるべく、ラマポーザ政権は「白人農地を保証なしで収容できる」ようにと憲法改正を進めている。これに対して、トランプ米大統領が激怒。対米関係が急速に悪化している
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対米関係に不安材料
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