Voxのウェブサイト
12月2日に実施されたスペイン・アンダルシア州の州議会選挙(定員109議席)で極右政党ボックス(Vox)は初めて議席を得て、それまでの0議席から一挙に12議席を獲得するという結果になった。どの選挙予測も1-2議席の獲得だろう見られていただけに、予想以上の「躍進」と言えるだろう。
結局、各政党の獲得議席数は社会労働党33、国民党26、シウダダノス21、アデランテ・アンダルシア17、ボックス12という結果となった。
その結果、右派の国民党と中道右派のシウダダノスは36年間の社会労働党政権に終止符を打たすべく政権獲得に向かって交渉を開始している。が、この2党だけでは過半数を満たさない。極右ボックスの議席が案件ごとに必要となって来る。初めて議席を獲得した極右政党がアンダルシア州議会で重要なカギを握ることになるのである。
そして、さらに懸念されることがある。それは、同様の事態が次回の総選挙でも見られそうだという点だ。
5か月前に社会労働党のペドロ・サンチェス党首はラホイ前首相の国民党政府に対し議会で内閣不信任案を提出して過半数の支持を得て政権についた。しかし、ペドロ・サンチェス政権は定員350議席の下院で僅か84議席しかもっていない。これでは政権の運営は非常に困難を伴う。来年度予算もまだ承認されていないのが現状である。ということで、現在の政界の動きから見て来年3月頃の総選挙の可能性が濃厚になっている。
そこで、その予測を『okdiario』が12月7日付けで報じているのが参考になる。それによると、社会労働党100-102、国民党99-101、シウダダノス65-67、ポデーモス52-54、それにボックスが、これまで0議席から5-9議席を獲得すると予測されているのである
この5政党以外に地方政党も加わるが、アンダルシア州議会と同じように、国民党とシウダダノスが連携して政権を獲得する可能性が非常に高い。そうなると、過半数(176)を満たすために鍵になってくるのが、ボックスの議席なのである。左派の社会労働党とアデランテ・アンダルシアの連携も過半数に及ばない。地方党の多くは右派系だからである。
ペドロ・サンチェスが内閣不信任案の可決を得て首相になった時に、早い時点で総選挙に踏み切っておくべきだった。それをやらずに政権を持続させようとしていることに世論でも反対意見が次第に増大している。内閣不信認案で姑息に政権に就くのではなく、総選挙をやって国民の審査をまず仰ぐべきだという意見が次第に強くなっている。しかも、不信任案の可決を見たのはカタルーニャとバスクの独立支持政党の支持があってのことだったので、世論では独立政党からの恩を背負っての政権運営だという批判的な評価もある。
ということで、3月頃に政権の交代を見ることになりそうである。その政権運営に同じくカギを握ることになるのがボックスであろう。アンダルシア州議会と同じく、スペイン国会でもボックスは初めて議席を獲得して、すぐに政権運営のカギを握ることになりそうなのである。