視覚化で「空っぽ」ぶりがよくわかる安倍総理答弁の異常さ<短期集中連載・2018年閣僚答弁プレイバック3>

安倍総理答弁

参院インターネット審議中継より

 安倍内閣閣僚や関係官僚の不誠実答弁が跋扈した2018年の国会。その不誠実答弁を振り返る第3弾は、満を持して安倍総理を取り上げたい。  総理の答弁の大きな特徴として、質問内容の背景や経緯をなぜか延々と説明する点が挙げられる。  筆者が信号無視話法(詳細は過去の対談記事を参照)を閃いたキッカケも、安倍総理の答弁は質問と全く関係ないこと(赤信号に該当)に加えて、無駄な背景説明(黄信号に該当)もあると気づいたからだ。  本記事では安倍総理の黄信号(質問の復唱、質問の背景を説明)に注目して、具体的に2つの答弁を見ていきたい。

「ケチって火炎瓶」を延々と解説する総理

 1つ目は今年7月17日の参議院 内閣委員会。平成30年7月豪雨で甚大な被害が出る中、国会ではカジノ法案の審議が行われていた。  自由党・山本太郎議員は安倍総理に対して、2000年6月に発生した総理の下関自宅への放火未遂事件について、国会で初めて質問する。下関市長選挙で総理が暴力団関係者に選挙妨害を依頼しながら約束通りの報酬を支払わなかった(ケチった)ために火炎瓶を投げ込まれたという前代未聞の事件だ。「ケチって火炎瓶」というハッシュタグでTwitterを始めとするネットでは盛んに話題になったのでご存知の方も多いだろう。事件の詳しい経緯は山本太郎議員が質問の中で分かりやすく説明しているため、そちらをご覧頂きたい。(動画の1分15秒~)  この質問内容を要約すると、「総理の暴力団関係者への選挙妨害発注は判決書に書かれた事実。カジノをやめるか、総理が辞めるか、どちらか決めるべきでは?」  これに対する安倍総理の回答を1枚にまとめた。(動画では5分13秒~) 「これ、あの、今、あ、委員が、あー、例として挙げられた件でございますけれども、いずれにせよ、この件はですね、有罪判決が下っているわけでありまして、被疑者は処罰されたものでありまして、私どもは、これ被害者でございます。そして、えー、資料の4を読んでおられましたが、それは、この、えー、有罪判決が下った人物、この下った人物は恐喝をしですね、これは、私どもだけではなくて、えー、あの、様々な、そういう、えー、過去も指摘されているわけでございますが、その人物がですね、こう言っていたということを紹介をして頂いたんだろうと、えー、思うわけでございまして、私は一切こういう恐喝には屈しなかった中において、先方がですね、えー、私が寝ている、車庫というご指摘がございましたが、私の家自体、私も妻も寝ていた家屋にですね、火炎瓶を投げ入れたわけでございまして、えー、投げ入れさせたわけでありまして、暴力団にたい、暴力団に依頼をして、そういう行為をさせたわけでありまして、えー、そういう、向こう側からのですね、えー、いわば、恐喝ゆすりには私は一切屈しなかったから、このようなことが何回か起こったわけでございますが。幸いですね、えー、この首謀者も、えー、捕まり、えー、これは判決が下り、処罰がなされたと、いうことだろうと、えー、思うわけでございまして、これはむしろ、私が関わりがあるということでは全くなくてですね、私は一切の関わりを断ってきた中において、発生した事件であるわけでございます。そして、既に判決が下り、本人は処罰されているということでございます。」  見ての通り、真っ黄色(=質問の背景や経緯をダラダラと説明)だ。  すでに山本太郎議員が質問の中で説明した事件や裁判の経緯を改めて説明しているだけである。もし安倍総理が国会を伝えるテレビ番組の解説者であれば、この発言は自然だったかもしれない。だが、当然ながら安倍総理は解説者ではなく答弁者である。時間稼ぎのために解説者の皮を意図的に被っているとしか考えられない。  この答弁を受けて、山本議員はこのように締めくくっている。(動画の6分50秒~) 「はい、判決が下り、処罰が下された、我らは被害者であると、確かにそういう判決です。あの、その方向性で裁判につながっていった話だと思うんですけれども、私が話しているのは、その前の話なんです。自分達が応援している陣営、これを有利になるために、相手陣営に対して選挙妨害をするように発注をしたと、(中略)そのような仕事、いわば汚れ仕事を堂々と発注できるような人間が、この国の総理であり、そして、このバクチを解禁するということにおいて、それをしっかりと、暴力団員と関わらないようにするねっていうことの監視役、その総元締めであるカジノ監視委員会を任命する立場にあるなんて、笑い話でしかないですよ。現実なんですから、悲劇でしかないですね。」
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質問の回答から逃げる安倍総理の手法
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