韓国で飲酒運転が厳罰化、最高刑は無期懲役! きっかけは一人の青年の死だった

安達夕

草案では加害者に死刑適用が言及されていた

 飲酒運転による痛ましい事故が後を絶たないが、韓国でも飲酒運転に対する厳罰化が進んでいる。  11月29日、韓国で飲酒運転による致死·負傷処罰を強化する「特定犯罪加重処罰法改正案」が、国会議員250名中、賛成248票、棄権2票の満場一致で可決された。続く12月7日には、飲酒運転の取り締まり基準値を下げる道路交通法も国会で成立した。これによって12月から飲酒運転による事故には、厳重な処分がくだされることとなった。  飲酒量などを制限する道路交通法の改正は、1961年に制定されて以来、初めてのこと。また、「特定犯罪加重処罰法」も2007年に危険運転致死傷条項が導入されて以来、「処罰の度合いが弱い」と再三にわたり、専門家から指摘を受けてきた。にもかかわらず、現在まで改正には至らなかった。(参照:Yonhapnews)  しかしなぜ今、韓国で飲酒運転の厳罰化が推進されるのか。  そこには、一人の青年の死と、彼の友人たちの行動があり、政府機関までも動かした。  ことは、本年9月まで遡る。

ある青年の死に立ち上がった友人たち

 9月25日、韓国の釜山で乗用車が歩道に乗り上げ、歩道にいた青年をはねた。被害者の青年はユン・チャンホ氏。軍に服務していた22歳の青年である。意識不明のまま病院に搬送されたユン氏は、脳死の判定を受けた。そして11月9日、その短い生涯を終えた。  加害者は26歳男性。事故当時、酒をどれくらい飲んだのか記憶もないほどの泥酔状態だった。  ユン氏の事故を聞いた友人たちが、事故当日、病院に駆け付けた。集中治療室の前で立ちすくむ彼らには、悲しみと動揺が広がっていた。  彼らは、友人をこんな目に合わせた加害者の罰について調べた。そして絶望的な事実を知った。韓国では、大半が飲酒運転による自己の判決は執行猶予もしくは懲役1~2年である。 「飲酒運転の事故は今までニュースで度々見てきたけど、ひどいなと思うくらいで、すぐ忘れていました。(中略)しかしあの時、何か行動していたら、チャンホはこんな目に合わなかったかもしれない。」(友人、李氏) 「チャンホの犠牲を無駄にしてはいけない」  友人たちは悲しみの中で自らを奮い立たせ、ある決断をした。(参照:東亜日報)  そこから友人たちは、飲酒運転関連法の勉強を開始。  法律や国会に詳しいものは誰もおらず、すべてが模索状態。量刑基準と判例を年度別に分担し、整理する過程で、いかに飲酒運転に甘い社会なのかを痛感した。  300人にもなる国会議員には、全員に直接メールを送り、「ユンチャンホ法」と名付けた議案の審議を求めた。もちろん内容の核心は、危険運転致死・負傷処罰の厳罰化である。  のみならず、大統領府への国民請願に投稿し、2ヶ月にわたって全国を回りながら法案決議の署名運動を行った。大統領府への国民請願の賛同は、37万人を超えた。(この国民請願サービスは、30日間に20万人以上が賛同した請願について、政府と大統領府の関係者が回答するという仕組み)  これに対して文在寅大統領は、11月10日に行われた大統領府首席補佐官会議において、飲酒運転事故への処罰を強化する方針を明らかにした。(参照:慶北毎日
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「ユンチャンホ法」議決するも、課題多く
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