白頭文化交流社の名刺
スパバ氏の拘束については、「ファーウェイ」問題でのカナダへの報復であることは容易に想像できるが、他にも「狙われる」要因があったという。
「マイケル・スパバ氏は韓国に北朝鮮へ投資目的の資金を集める会社を最近設立したらしくそれが一因になっていると聞いています」(国際人権団体関係筋)
事実、スパバ氏が中国当局に拘束されたと見られる10日から訪韓する予定とのツイートがあり、丹東で拘束されたのは企画した北朝鮮ツアーへ同行した帰りだったのかもしれない。丹東から入国した直後だとしたら中国当局に狙い撃ちにされていた可能性が高い。
前出の瀋陽の経営者の話のようにスパバ氏は中国では正式な組織ではなくフリーランス的に活動していることを記者は別の関係者から聞いて知っていた。そのため、昨年のセミナー後の懇親会で直接、「ビザとか公安対策などはどうしているのか?」と質問した。
彼の答えは、「自分は、延吉政府から優遇されているので延吉空港でもVIP口から入国するし、荷物もノーチェック、マルチ(出入回数の制限がない)ビザを持っている。公安とも仲良くしているからまったく問題ないよ」と教えてくれた。
話を聞いて、そんな優遇があるのかと驚いたものだが、それが、「中国の国家安全に危害を及ぼす活動に関わった」としてスパイ容疑で拘束である。
スパバ氏は、ファーウェイ問題が発生した時点で中国退去を考えなかったのだろうか。
中国国内問題に詳しいジャーナリストの話からすると、スパバ氏は自分には「強固な関係」=人脈・特権があるから平気だと油断していたのかもしれない。
というのも、どう考えてもスパバ氏の活動は中国政府を刺激するような活動ではなく、そんな強固な関係が一夜にしてガラガラと崩れ去ったとしたら、改めて中国が世界最大の人治国家であることを思い知らされるような出来事だ。
酒を酌み交わした人間が厳しい環境下で拘束されていると考えると忍びない。マイケル・スパバ氏の無事と早期解放を祈りたいと思う。
<取材・文/中野鷹 Twitter:
@you_nakano2017>