イスラエル・ネタニヤフ首相が進める「極右同盟」作り

白石和幸
ネタニヤフ首相

photo by Kremlin.ru(CC BY 4.0)

 イスラエルのネタニャフ首相の汚職疑惑に絡む証拠は十分に挙がっているとして警察は彼を起訴するように検察に勧告しているが、それに中々踏み出せないようだ。というのも、現在の非常に複雑で難しい中東でイスラエルを守るには彼に優る政治家はいないとして逮捕に踏み切れないでいるという噂もある。

ヴィシェグラード・グループとの「同盟」

 そのネタニャフ首相が現在築こうとしているのが、イスラエルに味方してくれる「同盟国」づくりである。意中の国となっているのは、欧州連合(EU)の中で右派の流れが強くEU委員会の政治方針に反対している東欧のEU加盟国である。具体的な国名を挙げれば、チェコ、ポーランド、ハンガリー、スロバキアで構成されるヴィシェグラード・グループとの関係強化に動いているという。  狙いは、EU委員会がパレスチナそしてイランとの関係を保ち、イスラエルの入植などに反対することに対し、それに批判的な姿勢を表明している東欧のEU加盟国をイスラエルの味方につけようというのである。その対象が、まずヴィシェグラード・グループの4か国に向けられたのである。  昨年、ネタニャフ首相がハンガリーの首都ブダペストを訪問した際に、ヴィシェグラード・グループの4か国首脳と会談したが、記者団との会見のマイクが切られていないことに気づかずにネタニャフ首相は以下のことを4か国の首脳を前にして語ったそうだ。 「イスラエルにテクノロジーを提供するのに政治的配慮を絡ませて来るのは世界の国際組織の中で唯一EUだけだ。中国とは政治的配慮を越えて特別な関係を維持している。インドの首相ナレンドラ(モディ)はインドの利益を最優先していると私に語った。同様に、ロシアとアフリカも政治的な条件はつけて来ない。唯一、それを条件にするのはEUだけだ。それは不合理だ。ヨーロッパ自体の利益を損ねることになる」  この発言が公に漏れたということをイスラエル紙『Haaretz』が明らかにしたという。(参照:「Monitor de Oriente」)  更に同紙は、パレスチナとイランとの問題についてEU内で4か国が統一した考えでもってイスラエルに味方してくれるように次のようにネタニャフ首相が4か国に依頼したことも明らかにしたという。すなわち、「他のEU同盟諸国にヨーロッパの利益を気にしてくれる中東で唯一の国家(イスラエル)に背くような行動は取るべきでないと強調したメッセージを内輪で送ってほしい」と告げたのである。  また、イスラエルのプランはそれを拡げて<オーストリア、ルーマニア、ブルガリア、リトアニア、キプロス、ギリシャ>といった国々も味方に加えることだという。  実際に、一部ヨーロッパの政治アナリストによれば、EUが加盟国の間で合意を発表する度に、ハンガリーがしばしばそれを阻止しようとする傾向にあることを指摘している。それがイスラエルへの批判であればそれを緩和するようにハンガリーは要請する傾向にあるという。  最近の例では米国がエルサレムに大使館を移転させた時に、EUはそれに反対する声明を発表しようとしたが、ハンガリー、チェコ、ルーマニアがそれに反対するという出来事があった。そして、オーストリアを加えたこの3か国はイスラエルが同大使館の移転を祝って主催したレセプションに出席した。と同時に、チェコとスロバキアは将来大使館を移転させることを誓って文化センターを先にエルサレムに移転させた。
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形成される極右ネットワーク
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