H3ロケットの想像図 (C) JAXA/MHI
三菱重工業は2018年12月6日、開発中の
新型基幹ロケット「H3」の打ち上げを、英国の大手衛星通信会社
インマルサットから受注したと発表した。打ち上げは2022年以降に予定されている。
三菱重工にとって、インマルサットからの打ち上げ受注は
2件目で、海外顧客からの打ち上げ受注は
通算6件目。そしてH3ロケットにとっては、初となる
民間企業からの受注となった。
はたしてなぜ、まだ開発中で、一度も打ち上げられたことのないH3ロケットが選ばれたのだろうか?
H3ロケットは、
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と
三菱重工が開発中の大型ロケットで、現在運用中のH-IIAロケット、H-IIBロケットの後継機となる。
H-IIAロケットはこれまでに
40機が打ち上げられ、そのうち
39機が成功しており、また
7号機以降は連続成功を続けている。
打ち上げ成功率は97.5%を誇る。
H3ロケットはこうした実績を受け継ぎつつ、より
高い信頼性と柔軟性、そして低価格を目指しており、日本の宇宙輸送手段の自律性を確保し続けるとともに、商業打ち上げ市場での競争力の強化などを図っている。
たとえば、日本が長年培ってきた技術を活かした、信頼性の高い新型エンジンを装備。また、そのエンジンの装着数などを変えることで、打ち上げ能力を3段階に切り替えることができ、打ち上げる衛星の重さや、打ち上げる軌道に合わせ、柔軟に対応できる。さらに
打ち上げ価格は、他国の同性能のロケットと比べて割高な
H-IIAロケットと比べ約半額となる。
開発費は
約1900億円で、現在はエンジンの燃焼試験や、打ち上げに使う地上設備の製造などが行われている。また、初の打ち上げに使う試験機についても、一部はすでに製造が始まっている。
三菱重工、JAXAによると開発は順調だとされ、
2020年度中に試験機1号機を打ち上げる予定となっている。続いて試験機2号機の打ち上げを行い、その評価を行ったのち、開発を完了。その後、本格的な運用に入る予定となっている。