公明党議員も出席した日本会議イベントで、より明確になった安倍の「公私混同」改憲

菅野完

日本会議のフロント団体である「美しい日本の憲法をつくる国民の会」全国大会

 臨時国会の閉幕をうけて記者会見を行った安倍首相は “私は、憲法改正について、国民的な議論を深めていくために一石を投じなければならないという思いで、2020年は新しい憲法が施行される年にしたいと申し上げましたが、今もその気持ちには変わりはありません”  と、発言した。(参照:首相官邸 成30年12月10日安倍内閣総理大臣記者会見)  臨時国会では、下村博文・自民党憲法改正推進本部長の失言等(参照:自民・下村氏、野党への「職場放棄」発言を撤回して謝罪–朝日新聞)もあり、憲法審査会は満足に開催されず、安倍首相とその周辺が推し進める「改憲スケジュール」に黄信号どころか赤信号がともりはじめている。そのため、この発言は驚きをもって受け止められた。各社の報道がこの発言を取り上げたのも当然だろう。  しかし、どの報道をみても見落とされているポイントが一つある。  安倍首相の発言の中にある “2020年は新しい憲法が施行される年にしたいと申し上げましたが”  の一言についてだ。

安倍はいつ、どこで「2020年改憲」に言及したのか?

 ここで安倍首相は、あたかも「2020年に改憲したい」という自分の目標を何度も繰り返してきたかのような口ぶりで、この一言を発している。だが、安倍首相の「2020年改憲プラン」は、国会の議事録や自民党内の議論の形跡をどう掘り返しても、公の場で語られた形跡が一切ないのだ。  首相の口から「2020年に改憲したい」という発言が出るのは、この記者会見で三度目。最初は2017年5月3日日本会議が開催する「民間憲法臨調」なるイベントでの発言。二度目は同年6月5日に公表された、読売新聞のインタビュー記事のなかにおいてだ。  2020年改憲プランを何度も口にしてきたかのように嘯く首相だが、その実、このプランを、内閣総理大臣として国会の場で語ったり、あるいは自民党総裁として自民党の会合で語った形跡は一切ない。  現在自民党が掲げる「改憲4項目」なる代物が初めて自民党所属議員および党員に正式にお披露目された、今年の自民党党大会でさえ、安倍首相の発言は、 「そしていよいよ、結党以来の課題である憲法改正に取り組むときがきました。4項目について議論を重ねてまいりました。もちろん、第9条においても改正案をとりまとめてまいります。」  にとどまっている。  これは不思議なことではないか。  内閣総理大臣としても、あるいは、自民党総裁としても、公の場や正式の場で語られたことがない「2020年改憲プラン」なるものが、あたかも「首相の悲願」かのように扱われ、それを忖度し、一切の疑義を挟まず改憲に向けて歩みを進めることが何よりも重要であるかのように、「既成事実」として取り扱われているのだ。  なるほど、改憲は自民党以来の「党是」なのだろう(注:結党時の党是は「改憲」ではなく「自主憲法制定」だったのだが、最近の自民党各位は、自党の歴史にも歴史改竄主義を発揮されるらしい)。したがって、その自民党に衆参両院で2/3議席を与えることは、改憲へのお墨付きを与えたことになるのかもしれない。だからこそ、目下の議席配分をみて、安倍首相周辺は「改憲の好機」と捉えているのだろう。  だが、「内閣総理大臣」としても「自民党総裁」としても、公の場で一切語られたことのないプランが、つまりは、私的な会合やインタビューで語られたものに過ぎないものが、既成事実化し、既定路線かのように扱われるのは、言語道断の「公私混同」と言わざるを得まい。
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公明党の魚住議員も出席した日本会議の改憲イベント
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