「複業」と「副業」。いったい何が違うのか? 『副業』×『貧困脱出』対談

タカ大丸

複業は複業にあらず。その心持ちが、結果を左右する

 いまや格差は広がる一方で、年金や介護保険など社会保障もどんどん削られている。「貧困」は一部の富裕層以外にはすぐとなりにあるのが現実になりつつある。  もちろん反論の声を挙げることが大切だが、それと同時に複数収入源の確保もできれば考えておきたい。  会社員生活から離れた後にブログで生計を立てるようになり、現在はAll Aboutアフィリエイトガイドをしながら様々な企業や地方自治体のアドバイザー、講演活動、書籍の執筆活動などを続け、『複業のトリセツ』を上梓した染谷昌利氏を、文字通り貧困家庭で生まれ、元手がない状態から貧困脱出までの実体験に基づき、かつ多くの体験者を徹底インタビューした結果をまとめた『貧困脱出マニュアル』の著者・タカ大丸が直撃。前回は「審判」と「民泊」で盛り上がったが、今回は本に盛り込めなかった内容、そして「副業」と「複業」の違いに踏み込んだ。

若ければ「逃げ道」はまだたくさんある

染谷昌利(以下、染谷):タカさんが紹介されていた競輪もそうですけど、練習用の自転車を購入するんだって30万円なら高校生でも三か月賄い付きのバイトすればなんとかなる金額ですもんね。 タカ大丸(以下、タカ):もっと言うとね、親のクレジットカードがあるなら月々一万円の36回ローンを組めばいいんですよ。それなら払えるはずなんですよ。 染谷:相撲に話を戻すと新弟子がいなくなると部屋がなくなってしまうという危機感が親方やおかみさんにあるということなんでしょうね。 タカ:私が中学の頃シニアリーグに所属していたんですね。そこでシニアリーグ新聞みたいなのがあって、三学期に入ると選手の進路が書いてあるんですよ。「XXシニアの●●君はPL学園へ」「XX君は報徳学園へ」みたいな。ここで問題は、中に「XXシニアの●●君は家業を継ぐ」とか「土木作業員に」みたいなのがあったんですよ。新聞に載るくらいですから有望だったわけでしょう。でもおそらくは家が貧しいから高校に行けない。なぜそういう子を相撲界はスカウトしないのかと思うんですよ。 染谷:相撲界もそういう業界紙的情報源の存在を知らないのでしょうし、逆にその子や親たちも相撲という選択肢を知らなかったということなのでしょうね。   タカ:もう一つ例を出すと、私が高校卒業後ソバの出前をしていたことがありました。そこのバイト君に、17歳の男の子がいたんですね。彼は高校野球部に入ったもののいじめかしごきかで退学し、居場所がないから寮がある出前のバイトをしていたわけです。  彼は荒んでいました。希望が見えないですからね。口癖は「むかつく」で、というか彼の口から「むかつく」以外の言葉を聞いた記憶がない。タバコはもちろん、夜は車の無免許飲酒運転、そして私が配達用でバイクに乗せたソバを手刀で叩き割りますからね……。 染谷:そこまで荒むのも珍しいですね……。 タカ:でもね、彼体格がよかったんですよ。身長は178か9、体重も80後半はあったでしょうね。憂さ晴らしのバッティングセンターでまあまあいい打球飛ばしてましたよ。 染谷:「デカい」はそれ自体が才能ですからね。今の文脈からすると、彼は「あそこ」にいくしかないですよね。 タカ:おっしゃる通りです。新弟子検査は100%合格ですし、ちゃんとやれば十両くらいには行けたと思います。でも僕自身がそういう道を知らなかったし、何より当時の私は何者でもなかったから説得力がありませんでした。 染谷:確かに語彙が「ムカつく」だけだとその後の人生も辛いでしょうね……。 タカ:あれから二十年、その後の彼がどんな人生を歩んだのか一切知りませんが、おそらくは肉体労働を転々として、一回二十代前半でできちゃった結婚をして、でもすぐに生活がたちいかなくなり、DVで離婚して、養育費も払えずに、たぶんどん詰まりな人生になっているのではないかなと思います。 染谷:よくそこまで脳内の想像だけでストーリーを組み立てられるなと思いますけど、でもおそらくそんな感じだろうなと僕も想像がつきます。お互いいい歳になっていますし、少しでもそういう助けを必要としている人たちに伝えていきたいなと思いますよね。
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“複業”とは“すべてが本業”の意
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