失われてしまった政治・経済・外交上の主権と自由を回復する
――最後にうかがいます。これから、どのようなEUを目指していくのでしょうか?
アスリノ:多様な文化、社会、歴史を持つEU諸国が、独自の特性を活かしながら、互いの連携と協力を進めていける国際関係が重要なのです。一律に均質化する必要はないのです。それこそが多様性の尊重ではないでしょうか。
民主的な意志を無視し、一律のルールによって縛られてしまう現在のブリュッセル官僚による中央集権・ユーロ体制から離脱する必要があります。2016年6月のイギリスの有権者によるEU離脱を決めた国民投票の結果に従ってイギリス政府によって進められているブレグジット(Brexit=イギリスの離脱)へ向けての歩みは、フランスが見習うべき民主的な手続きです。
通貨発行権だけではありません。現在失われてしまった政治、経済、外交上の主権と自由を回復しなければなりません。だからこそフレグジットなのです。安倍首相は再登板するとき、「日本を取り戻す」とおっしゃったそうですね。それに倣えば「フランスを取り戻す」のが私たちの目標です。
財政・金融・外交・安全保障の主権を取り戻す必要があるのです。フレグジットは排他的でもなく、きわめて現実主義的な政策です。徹底したリアリズムに基づきます。フランスが主権を回復してこそ、明るい未来が見えてきます。
<質問/及川健二(日仏共同テレビ局France10日本支局長)、翻訳/荻野文隆(東京学芸大学特任教授)>