コミュニケーション能力向上の鍵は「分解」して考えること

 「ああしろ」「こうしろ」とリーダーがメンバーに押しつけるトップダウンのリーダーシップではなく、メンバーの意向をふまえて彼らを引きつけていく……。そんな「巻き込み型リーダーシップ」を発揮できるかどうかは、相手の話に対してどのように反応するかにかかっていると以前紹介した。

スキルを分解すれば、活用法が広がる

 「相手を巻き込むようにリアクションしよう」と言うだけでは、何をどうすればよいかの検討がつかないことが普通だ。そのため、スキルを分解して、パーツスキルにすると身につけやすくなる。  相手を格段に巻き込みやすくなるリアクションは6つの型にわかれ、リアクションのスキルは、次のように同意部分と誘導部分に分解することができる。  「同意+質問」は、相手の話に対して同意してから質問するリアクションだ。「同意+追加」は、同意して類似の話を追加する。「同意+例示」は、同意したうえで相手の話に近い話を例示する。「同意+経験」は、同意してから、相手の話に関係のありそうな自分の経験を話す。「同意+示唆」は、同意を示してから、相手の話とは別の方向性を示唆して相手の反応を伺う。「同意+仮定」は、同意してから、相手の話とは別の方向性の話を仮の話として繰り出すリアクションだ。  このように紹介していくと、リアクションという言葉は使っていなくても、普段、似たような方法で、対応していると思う読者もいることだろう。しかし、分解してスキルを捉えると、型としてさらに身につけ、定着、応用しやすくなったりする。また、他のメンバーへも勧めやすくなるのだ。  同意部分について、さらに具体的に話法をみてみよう。同意のフレーズ、いつも同じように「わかりました」を繰り返したり、「はい、そうですか」を繰り返したりしていると、自分ではそのつもりはなくても、相手からは「この人、本当にわかっているのだろうか?」と誤解されやすくなる。  その場や話の内容に応じて、自分の受け止め方を考えると、自然と同意の表現が変わってくる。以下のは、同意部分の話法例だ。  このようにガイドすると、「自分の受け止め方」をどのように表現してよいかわからないという見解に接することがよくある。そういう場合には、逆のことを申し上げるようだが、同意部分の話法例の、同じ表現を続けて繰り出さないようにして、その都度、異なる話法例を繰り出していくことを心がけていくとよい。  さまざまな話法例を、その都度繰り出していくことをしていくと、少なくとも、相手に「この人、本当にわかっているのだろうか?」と誤解されるリスクは減る。加えて、さまざまな話法例を繰り出すことで、その時々に合った同意表現や、自分らしい同意表現が自然と、理屈ではなく肌感覚でわかってくるだろう。
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管理職以外にも有用な対人スキル
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