入管法強行採決前日、技能実習生の死亡について、安倍首相は「知らない」と笑顔で言った

「資料を初めて見たから答えようがない」と言い切った総理

 山下大臣が「前提」を説明した後、ようやく答弁を始めた安倍総理の回答がこれだ。(動画の1分54秒~) 「あのー、今ですねー、なぜ山下大臣がお答えをしたかと言うことについて言えば、その・・、」  1段落目、満を持して答弁を始めたのに背景説明を始めたため、黄信号とした。  この際、すぐに野党議員たちも質問に答えるように一斉に抗議の声をあげて議場は騒然となる。しかし、総理はこの抗議の声を逆手にとって、典型的な不誠実答弁を披露する。 「すいません委員長、ちょっと、外がですね、うるさくて、あの・・、えっ、よろしいでしょうか。こういう、こういう質疑はですね、なるべく静かな、え、環境の中で、しっかりと議論するべきであってですね、委員外の方が大きな声で野次を飛ばすという、そういう事はなるべくやめて頂きたいなぁと思うわけで、えー、ございます。」  2段落目は厚顔無恥話法(ご飯論法同様、上西充子教授が考案)そのものである。自分に非があるのに相手に責任転嫁するような発言を行い、そこだけ切り取った映像がテレビで流されることで相手の印象を悪くする。言ったもの勝ちの印象操作である。これも赤信号である。 「そこでですね、なぜ今、山下大臣からお答えをしたかと言えば、今、急に今、有田、あー、委員が、えー、お示しになった、えー、亡くなられた例でありますね。亡くなられた例については、私は今ここで、えー、初めてお伺いをしたわけでありまして、ですから私は答えようがない、わけでありまして。その例について、あらかじめ知っている山下大臣でなければ、それを踏まえて答えろ、と言うことでございましたので、それを踏まえて答えるのは私は出来ないので、山下大臣が踏まえてお答えをさして頂いたと、いうことでございますが、」  3段落目、今度は論点をすり替えており、赤信号とした。69名が死亡しているという事実を踏まえて、どのように総括するのかを尋ねているのに、あたかも詳細な死亡理由を尋ねられているかのように答えているのだ。 有田議員の質問:69名死亡の「総括」 安倍総理の答弁:69名死亡の「詳細」  さらに、「有田議員が急に示した」と総理が言った資料(69名の死亡事案一覧)は、法務省が作成して提示してきたものである。しかも当日午前の質疑(安倍総理は不在だったが、山下法相は出席)でも有田議員はこの資料について質問しているため、総理の認識不足と言わざるを得ない。 「いずれにせよですね、えー、現在、山下法務大臣の、おー、指示のもと法務省内で設置されたプロジェクトチームにおいて、えー、この、おー、技能実習生の実態把握のあり方の見直しを、ま、行うとともにですね、えー、聴取票から、あー、ひょう、不当な行為が認められる技能実習制度、えー、あ、え、じ、ぎ、技能実習実施機関の調査に、ま、既に着手しているものと、承知をしているわけでえー、ございまして、えー、その中においてですね、我々、今までの制度の中で、問題がなかったと思ってるわけではまったくないわけで、えー、あります。様々なご指摘も頂きましたし、そういう問題も把握をしておりますからしっかりとその中でですね、えー、山下大臣のもとに調査を行い、えー、それを踏まえて、えー、この、おー、この、え、法案を通して頂ければ、えー、省令等で、しっかりと対応していきたいと、こう考えているところでございます。」  4段落目、総理は完全に原稿を棒読みして答弁していると思われ、内容も一般的すぎるが、質問には回答していると判断して青信号とした。ただし、翌日には法案が成立する見込みの中、これから「調査に着手」では遅すぎる。そもそも、「法案を通して頂ければ、省令等で対応」というのは、国会軽視も甚だしく、白紙委任を強要しているようなものであり、こうした表現には総理の本音が透けて見えるように感じられる。
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人が死んだという事実についてヘラヘラ笑いながら答える異常
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