国立感染症研究所は11月28日、今年初めから11月18日までに報告された風疹患者が計2186人になったと発表。93人だった昨年1年間の約24倍に上っている。同日までの1週間の報告数は123人で、11週連続で100人を超えた。今年の累計患者数は、都道府県別で東京763人、千葉310人、神奈川295人、埼玉147人、愛知103人の順に多い。
風疹の感染拡大防止に向け、厚生労働省は抗体を持つ割合が低く感染しやすい30歳代~50歳代の男性に対し、ワクチン接種を原則無料の定期接種の対象とする方向で検討に入った。根本匠厚労相は27日の閣議後の記者会見で「風疹の予防接種の推進方策にスピード感を持って取り組みたい」と述べた。
風疹はワクチン接種で予防できる。だが、現在39歳7か月以上の男性は子どものころ公費の予防接種の対象外だった。風疹の抗体がない人が多く見られる39~57歳の男性の数はなんと約1600万人。今年の患者は男女比で4:1になっている。
感染者の中心は、免疫を持っていない30歳代~50歳代の男性
厚労省はすでに30歳代~50歳代男性への抗体検査費用を実質無料化する方針を決めている。抗体のない同世代のワクチン無料接種も検討している。渦中にある厚生労働省健康局結核感染症課の繁本憲文氏に聞いた。
――2012年、2013年も感染の拡大がみられましたが、なぜ今年も拡大が止まらないのですか?
「感染している年齢層を見ると30歳代~50歳代が多いのですが、要は免疫を持っていない方が元々おられて、感染が拡大して行っている。その原因は、たまたま風疹に感染しておられる方が何名かいて、それが約1600万人もの免疫をもっていない男性に感染していった可能性が高く、それだけ人数が多いので次々と感染が広がっているということだと思います」
――なぜ30歳代~50歳代の方が風疹ワクチンを打っていないケースが多いのでしょうか。
「もともと風疹ワクチンというものはありませんでした。ただ、免疫のない女性が妊娠初期に風疹に罹患すると、風疹ウイルスが胎児に感染して出生児に先天性風疹症候群(CRS)と総称される障碍を引き起こすことがある……ということで、女性を対象にワクチン接種するようになったのです。しかし妊婦だけでなく、風疹の流行を防ぐ必要があるだろう……ということになって、男女がともに接種するようになったという歴史があります。ワクチンの定期接種を女性にするようになったのは1977年からです。男性が定期接種するようになったのは1995年からです。1977年からも1995年からも接種は一回だけです」
――とすると、その方たちももう一回接種したほうが確実ということでしょうか。
「そこは抗体があるか否か調べてから。なければ接種するというのでよろしいかと思います」
――そうすると全世代の方が抗体を検査した方が良いということでしょうか?
「二回接種している方は必要ありません。一回だけでしたら、した方が良いかもしれませんね。ちなみに集団接種は初め中学生の頃で、それが1995年から子どもの頃に変わりました」
――集団接種を二回することはないのでしょうか。
「2006年から始めています」