エル・コルテ・イングレスも自社でネット販売をしているのが、その伸展には限界があり、アマゾンの脅威は次第に膨らんでいる。
エル・コルテ・イングレスが店舗を構えているスペインとポルトガルを主力のネット市場としても、その伸展には限界がある。成長を続けるには販売市場を広げる必要があるのだ。そこで彼らが注目しているのが中国市場であった。
その必要性から生まれたのがアリババとの販売提携なのである。
エル・コルテ・イングレスはブランドものが中心となっているが、彼らのオリジナルブランドも増やしている。自社のオリジナルブランドの商品を中心に中国市場に導入させて発展させたいと望んだのがアリババとの提携である。
その為にも、中国で消費者の支払を容易にするために今年3月にはアリペイ(ALIPAY)と契約を結んだ。アリババが運営しているアリエクスプレス(AliExpress)とは11月初旬に提携を済ました。同様に天猫(Tmall)とも結んだ。これによって、エル・コルテ・イングレスの商品の中国市場での販売を容易にすることができる。
また、外国からの中国市場へのアクセスを容易にするアリババクロウドにもエル・コルテ・イングレスはアクセスの準備を進めている。
また一方、アリエクスプレスで購入した商品の引き取りにスペインのエル・コルテ・イングレスが各地の中心街にもっている販売拠点を利用することも双方の協力をより堅固なものにするとしている。
エル・コルテ・イングレスが持っているこのロジスティック面の利用を活発化させる為に、アリババもスペイン市場への浸透を目的に試験的に中国の11月11日の独身の日にあやかってマドリードのエル・コルテ・イングレスのサチョナッロ店でポップアップストアーを開設した。(参照:「
El Pais」、「
El Espanol」、「
LibreMercado」)
アリババとの提携を前にして、エル・コルテ・イングレスのCEOビクトル・デ・ポソはアリババの代表との署名にあたり、「エル・コルテ・イングレスはスペインとポルトガルの主要都市の最高の場所に店舗を構えており、スペイン及び外国の消費者からの信頼を享受している。それに加えて、アリババのテクノロジーを加えることによって、打ち負かされることのない価値ある提案をすることができるようになる」と述べた。
革命児アマゾンの脅威の前にサプライ市場にも活発な動きが見られるようになっている。
<文/白石和幸 photo by
Raúl Hernández González via flickr(CC BY 2.0)>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身