欧州最大の総合デパート「エル・コルテ・イングレス」が、Amazonに対抗してアリババと提携

白石和幸

elconteingres

photo by Raúl Hernández González via flickr(CC BY 2.0)

 ヨーロッパの総合デパートの売上で最大のデパートがスペインにある。エル・コルテ・イングレス(El Corte Inglés)である。
 日本からスペインを訪れた人は街中でビニール袋に緑色の二等辺三角形を横にして、その中に手書きのような字体でEl Corte Inglésと書かれた手持ち袋を持っている通行人を良く目にすると思う。スペインとポルトガルに90店舗を構え、スペインでライバルだったデパートも吸収した唯一の総合デパートである。

 11月29日、中国の習近平首席がG20に出席する前にマドリードを訪問。それにあやかって、エル・コルテ・イングレスはその日、アリババと業務提携する目的で予備協議に双方の代表が署名した。エル・コルテ・イングレスの狙いは、Amazonに対抗することと、中国市場へのアクセスを容易にする為だとしている。(参照:「El Pais」)

世界第三位の百貨店、エル・コルテ・イングレスとは?

 エル・コルテ・イングレスのルーツは1895年にマドリードで洋服と子供服の仕立て屋としてスタートした。社名の由来は「(生地の)英国式裁断」をスペイン語表現からとったもの。

 そこで働くことになったラモン・アレセスはキューバから戻ったところであった。当時のキューバはカストロ兄弟によるキューバ革命以前で、米国の影響下にあり、彼はハバナの総合デパートで働いていたのである。そこでデパートの営業ノウハウを習得して、それをエル・コルテ・イングレスで少しづつ実践して行ったのが今日の同デパートの礎になっている。

 1970-1980年代にはブルジョア層を顧客にして成長。品揃えの7割はブランドものとされている。(参照:「Intereconomia」)

 ところが2000年代に入ると消費者の購買にも変化が現れ、しかもZARAやIKEAといった低価格の商品に若い消費者が傾くようになっていった。そこでエル・コルテ・イングレスはアパレルでは若者に抵抗なく買える価格を設定したブランドSfera(スフェラ)をつくり、それを店内の1階フロアーにコーナーを設けて販売したり、食品ではSupercor、サングラスや眼鏡でÓptica 2000を設けて若い消費者にもアピールするマーケティングを展開している。
 昨年は、年商159億3500万ユーロ(2兆700億円)、イービットディーエー(EBITDA)10億5400万ユーロ(1370億円)を計上している。

 この年商は、米国のメイシーズ(Macy’s)219億8500万ユーロ(2兆8600億円)、コールズ(Kohl’s)169億300万ユーロ(2兆2000億円)に次いで世界3位に位置している。そして、エル・コルテ・イングレスに次いで4位と5位にシアーズ(Sears)147億8400万ユーロ(1兆9200億円)とノードストローム(Nordstrom)133億9900万ユーロ(1兆7400億円)が続いている。(参照:「Modaes」)

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対Amazonとしてのアリババ
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