運送業界のドライバー不足を、外国人労働者では補えない2つの理由

橋本愛喜

ビザや免許以外の理由も

 このように、現在の環境では、就労ビザや留学ビザを取得した、“来日間もない外国人”が運転免許を取り、運送業界でドライバーとして働くことは、どの角度からも難しくなっている。それゆえ、外国人のトラックドライバーは、「永住者」でない限りほとんど存在しないのが現状なのだ。  こうした「ビザ」や「運転免許」といった壁を取り払うべく、近い将来「入管法改正」で新設される「特定技能」の14業種に、「運送業」も加えてほしいといった業者も一部には存在するのだが、日本のトラックドライバー不足は、たとえその要望が通ったとしても、外国人労働者の受け入れでは解決しないと断言できる。いや、解決するどころか、外国人ドライバーを雇用することで、別の問題を量産する可能性すらあるのだ。  その大きな要因となるのは、「日本の物流の質の高さ」にある。  日本で生活していると気付きにくいかもしれないが、日本の物流の質やサービスは、世界でもズバ抜けて高い。指定した時間帯に8つ角が角張ったままの荷物が、車体に傷・へこみひとつない「ドライバーのネームプレート」付きのトラックで届けられるのは、世界広しといえども、日本ぐらいなものだ。  以前から述べているように、日本のトラックドライバーの本業は「運転」でなく、荷物を安全・確実・定時に届けること。来日間もない外国人に任せると、荷積みの徹底度や時間的感覚に文化的差異が生じ、トラブルになりやすく、死亡事故などを起こした際は、国際問題に発展する恐れもある。  荒道・細道・交通量の多い諸外国で長年運転してきた外国人ならば、運転技術は日本人よりあるかもしれないが、「上手い」と「丁寧」は、全く違う。緻密かつ繊細な走りを求められる「日本のトラックドライバー」という職業は、突然日本にやって来た外国人には、やはりどうしても「荷が重い」のだ。  日本の真のグローバル化は、今まで筆者も「一刻も早く進めるべき事案だ」と唱え続けてきた。が、国内の「人手不足」をむやみに外国人労働者で補おうとする流れや短絡的な考えには、どうも賛成できない。  トラックドライバーの業務は、実際のところ、「単純労働」ではなく「単純過酷労働」だ。ドライバー不足を解消するには、人材を増やそうとする前に、彼らの労働環境の改善を第一に進めた方が断然早いように思えてならない。 【橋本愛喜】 フリーライター。大学卒業間際に父親の経営する零細町工場へ入社。大型自動車免許を取得し、トラックで200社以上のモノづくりの現場へ足を運ぶ。日本語教育やセミナーを通じて得た60か国4,000人以上の外国人駐在員や留学生と交流をもつ。滞在していたニューヨークや韓国との文化的差異を元に執筆中。
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