運送業界のドライバー不足を、外国人労働者では補えない2つの理由

橋本愛喜

トラックイメージ

※写真はイメージで本文と関係ありません  キャプテンフック / PIXTA(ピクスタ)

 「トラックドライバーが一般ドライバーに知っておいてもらいたい“トラックの裏事情”」をテーマに紹介している本シリーズ。今回は、一旦テーマを離れ、運送業界が深刻なドライバー不足に陥っても、今も今後も「外国人労働者」をドライバーとして雇うことが困難である理由を、できるだけ分かりやすく解説していきたい。
 既報のとおり、ネット通販の普及などにより現在、運送業界は深刻なトラックドライバー不足に陥っている。また、ドライバーの高齢化も顕著で、30代までの若い就業者が、全体の約28%であるのに対し、50代以上のドライバーは、約40%。60代以上だけでも16%以上にもなる。

 トラック輸送は、この世に存在するほとんどの業種に関わってくるものであるため、これらの問題がこのまま進んでいけば、いずれ日本の経済循環にも悪影響を及ぼし兼ねない。

 そんな中、今年に入り、国会では外国人労働者の受け入れを目指した「入管法改正」に対する動きが活発化。それに伴い、運送業界の一部からも、「トラックドライバー要員として海外から外国人労働者を受け入れたい」という声が漏れ聞こえてくるのだが、同業界と外国人労働者問題の動向を傍で見守ってきた立場からすると、現行法でも改正法でも、彼らをトラックドライバーとして雇用するのは、様々な理由から難しいと言える。

 とはいえ、昨今の日本の物流業界は、外国人労働者なしではすでに成立しない状態にある。裏方業務であるため、あまり目にすることはないが、「荷物の仕分け」のラインに立つ作業者の多くは、アルバイトとして働く「外国人留学生」なのだ。

 にも関わらず、同じ物流業界にある「トラックドライバー」という業務に、彼ら外国人の姿を全くといっていいほど見ないのは、どうしてなのか。

 その理由は、「ビザ」と「運転免許」という壁の存在にある。

 外国人が日本で就労する際に必要となるビザは、現在のところ全17種ある。が、比較的「単純労働」と位置付けられている「運送業」は、そのどれにも該当しない。つまり、「運送業に従事するために来日する」ことはできないのだ。

 一方の運転免許だが、日本に“在留”する外国人であれば、原則誰でも取得することはできる。中でも、就労ビザでは就けない「単純労働」にアルバイトとして従事できる「留学生」の場合、必要があるならば、法的には大型免許を取得して、実際に運転業務に就くことも可能なのだ。
が、彼らは「入管法」で1週間に28時間しか就労が許されていないため、必然的に長時間労働になるトラックドライバーは、そもそも不向きだ。

 また、留学ビザの在留期間は最長でも4年3か月(理由があれば更新は可能だが、あまり現実的ではない)。一方、現在の道路交通法では、日本の「普通自動車免許」を取得してから中型免許は2年、大型免許は3年以上経過していないと取得できないようになっているため、これら中・大型免許を取得する場合、「時間制限」のある中、来日直後に普通免許を取得し、そこから数年後、さらに教習所に通い、時間と料金を費やさなければならず、非効率で、どうやっても「取り損」になるのだ。

 自国で取得していた免許を、日本の同型免許に切り替えるという方法もあるが、それには、知識確認や技能確認などといったテストを受ける必要がある。これらが免除される国も28か国あるが、その中でアジア諸国は、韓国と台湾のみ。現在、来日する留学生数トップの中国や2位のベトナム、また、近年その数が急増しているミャンマーやネパールなどの東南アジア諸国は入っていない。

 ちなみに、諸外国の免許から日本の同型免許に切替えることができるのは「一種免許」のみ。「二種免許」は、切り替えでは取得できず、日本でイチから取り直さねばならない。

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ビザや免許以外の理由も
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