14日午後、ワシントンでデビッド・プライス下院議員と面談する玉城知事。プライス下院議員は「議会対策で協力する」と語った(写真/沖縄県)
「埋立土砂利権」というのが辺野古新基地建設の本質だと言っていい。「“欠陥基地”になる恐れがあっても土砂投入の埋立工事を進めれば、建設業者の儲けになる」ということだ。玉城知事は、「工事のための工事」とも評される無駄な公共事業の具体的事例をアメリカに伝えたともいえる。
国務省と国防総省には冷遇された玉城知事だが、ワシントンでは民主党の上院と下院の議員2名とも面談。デイビッド・プライス下院議員からは「議会対策で協力する」と言われたという。日米両政府が辺野古新基地建設強行で足並みをそろえるのに対して、日米の野党と沖縄県が連携して追及する態勢作りの取っ掛かりとなった。
「日米両政府が頑なな姿勢であれば、『日米の野党が連携して追及する』という考えはあるのか」と聞くと、玉城知事はこう答えた。
「さまざまな戦略からさまざまな戦術を描いていくことは必要なことです。ましてや沖縄県は47都道府県の一地方自治体、県ですから、私たちができることは限られているかも知れません。
そこにいろいろな分野の方々が加わっていただき、多くの県民のみならずアメリカに住んでいらっしゃる米国民の方々も、私たちと一緒に行動することを大きなうねりになると思うのです。
その作業を作ることは、これからもいろいろな形でやっていきたいと思います。(米国議会で民主党議員が辺野古の問題を取り上げることについて)可能性は十分あると思います」
今回、海兵隊関係者との面談は実現しなかった、そのことについては「残念」と玉城知事は悔やみつつ、海兵隊関係者との面談が実現した場合、「私は海兵隊員の息子です」と伝えたいと語り、再度の訪米の可能性を示唆した。
準備不足が懸念された玉城知事の早期訪米だったが、アメリカ政府や上下院議員に沖縄の民意や軟弱地盤問題を直に訴えたことで辺野古新基地阻止に向けた”外圧創出態勢“の取っ掛かりをつかんだといえそうだ。来年2月にも実施される県民投票後の再訪米や、さらなる軟弱地盤問題の発信、日米の野党連携の呼び掛けなど、玉城知事の今後の動きが注目される。
<取材・文・撮影/横田一>
ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた
『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他
『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数