フェイクニュースが後押しした極右ボルソナロのブラジル大統領選勝利。当選後リベラル女性への暴行事件なども発生

沢田太陽
 10月28日、ブラジル大統領選において極右候補のジャイール・ボルソナロ氏が当選した。それ以降、このニュースは国際的に波紋を投げかけている。

前政権下での汚職と不景気が生んだ「カリオカのトランプ」

photo via Pexels

 それはボルソナロ氏が兼ねてから行っていた言動にあり、それが世界的に知れ渡っていたからだ。

「お前など、レイプする価値もない女だ」
「自分の息子を黒人の女性とはつきあわさせない」
「息子がゲイになったら死を望む」
「先住民の保護区など1センチたりとも増やさせはしない」

 これらの言葉を実際に発した通り、同氏は女性、黒人、LGBT、先住民に対しての過度な差別意識で知られている。

 こんな人物がなぜ支持を受けるのかといえば、それはブラジルが長らく左翼政権下にあって、その政党・労働者党を取り巻く大規模なスキャンダルが起きたこと。さらに2000年代の好景気が嘘のような’13年からの不景気も加わったことで、政権改革を望む声が強まったためだ。

 だが、その労働者党の汚職を追及していたライバルである穏健右派の政党が同じくスキャンダルで失墜。その合間を縫って、少数政党所属で、政界では長らく無名に近い存在だったボルソナロ氏が「政界刷新」を訴えて“一見クリーン”なイメージで登場してきたのだ。それ以前から「ブラジル版ネトウヨ」の間で熱狂的な支持を得ていたボルソナロ氏だったが、前述のようなマスコミが取り上げやすい言葉を使ってメディアに登場する回数も増えていた。

 また、労働者党はリベラルな政策で貧困層や女性やLGBTをかなり大事にしてきたことが売りだったが、そうした政策を本心では決して喜んでいなかった富裕層やエヴェンジェリックな宗教層が実は多く、彼らがボルソナロ氏支持の母体となった。

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反ボルソナロ運動も盛り上がったが……

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