共和党の右旋回、民主党の左旋回で「中間」がいなくなってしまった米国中間選挙

「2年後の大統領選でトランプ大統領に挑むのは誰か」が民主党の最大の問題

バイデン氏

民主党の次期大統領候補のなかで一番人気のジョー・バイデン前副大統領

 民主党は勢いづくが、頭が痛いのは2年後にトランプ大統領に挑む魅力的な大統領候補を欠くこと。一番人気で30%以上の支持率を集めるジョー=バイデン前副大統領は76歳。20%近くの支持率を得るサンダース上院議員は77歳と、いずれもトランプ大統領より高齢だ。  ただ、米国『Forbes』誌はバイデン副大統領候補を推していて、その理由を4つ説明している。 1)副大統領への就任時より退任時の方が、支持率が高かった。また、バイデンが副大統領になったことは、若く経験の浅いバラク・オバマ大統領への信頼感を高めた。今後、民主党にスター候補が出てくることが注目される。 2)バイデンは民主党の全ての党員に対し、自身は全ての有権者グループ(特に女性、非白人、労働組合員、環境保護主義者など)のために戦ったと主張することができる。 3)私たちが知る限り、バイデンに関する否定的な要素はすでに徹底的に調べられている。法科大学院に通っていたころに試験で不正を働いたこと、コンビニエンスストアのオーナーたちなどについて人種差別的なばかげた発言をしたこと、よく女性の肩をさする(少し不快感を与えている)ことなどだ。そしてこれらはいずれも、現在のホワイトハウスの住人を道徳的に優位に立たせるものではない(*つまり、バイデン氏のスキャンダルはすべて出尽くしており、セクハラ・パワハラ大魔王のトランプ氏に比べたら、かなりまともということだろう)。 4)大統領選挙に向けた討論会でドナルド・トランプと同じステージに立ち、互角にやり合い、適切な場面で笑ってみせる姿が想像できるのはバイデンだということだ。  ある世論調査の結果では、トランプ氏とバイデン氏が1対1で戦ったら7ポイント差でバイデン氏がリードするという結果が出た。  かつては若き民主党のホープだったバイデン前副大統領が“高齢”故の落ち着きと安定で、“狂犬”トランプ大統領に挑むのか。今後の行方が注目されている。 <取材・文/及川健二(日仏共同テレビ局France10日本支局長)>
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