SUGIZOが見たパレスチナ。難民キャンプ支援ライブに密着

佐藤 慧&志葉玲

 今年の10月、ロックバンド「LUNA SEA」、「X JAPAN」でギタリスト、バイオリニストを務めるSUGIZOさんが、長年の夢だった中東パレスチナ自治区でのライブを敢行した。そのツアーに密着、帰国後にインタビューを行った。

きっかけはヨルダンのシリア難民キャンプでの体験

ヘブロン商店街

かつては繁華街だったというヘブロンの商店街。商売を営んでいたパレスチナ人たちはイスラエル人の入植により立ち退きを余儀なくされ、いまはゴーストタウンと化している

 パレスチナでは現在も、イスラエル建国に始まる国境線の争いや占領が続いている。分断壁が立て続けられているヨルダン川西岸地区や、地上の監獄と化しているガザ地区。そこに暮らす人々は、イスラエルへの抗議デモを繰り返しているが、イスラエル軍による催涙弾、ゴム弾、時に実弾により傷つき、命を落とす人が後を絶たない。
 SUGIZOさんがそのような環境に置かれる人々に音楽を届けたいと思うようになったのは、2016年に訪れたヨルダンでの体験がきっかけだった。ヨルダンには、北に隣接するシリアからの難民が逃れてきていて、大きな難民キャンプがある。

「個人として難民の方々に会いに行きたい」と、単身飛行機でヨルダンに向かったSUGIZOさんは、キャンプでの演奏を求められて現地でバイオリンを調達、急遽ライブを開催した。

ヨルダン難民キャンプ

2016年、ヨルダンのザータリ難民キャンプにて

 反応は予想以上だった。難民キャンプという環境では、音楽を自由に楽しむこともできない。さまざまなストレスを抱え生活を送る人々が、この即席のライブに体を揺らして熱狂した。ふだん人前では感情を抑えがちなシリアの女性たちも、立ち上がり手を叩いた。子供たちはSUGIZOさんの真似をしてバイオリンを弾くふりをする。
 国や言語、宗教や置かれた状況を超えて、何かが通じ合った瞬間だった。「音楽は心を開放させることができる」というSUGIZOさんは、困難な状況に置かれた人々に音楽を届けることの意義を、このライブを通じて確信したという。

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難民キャンプで行った、手づくりのライブ
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