部門や社員間の対立。当事者同士の徹底討論は逆効果?

自分の方針を説明したら、あえて退室する

 当事者同士を角突き合わさせないで、対立解消する方法とは、次のような手法だ。たとえば、A部門とB部門が対立しているとしよう。A部門の代表が、新たな方針の提案をするが、B部門のメンバーがそれに反対していて、議論をしても対立は解消しないどころか激化してしまっているとする。  これまでのよく用いられる対立解消手法では、A部門とB部門とで議論を繰り返すわけだが、決してそれをしない。方針説明を終えたら、A部門の代表は、B部門のメンバーに対して、「それではよろしくご検討ください。ご検討いただいた結果は、すべてではないかもしれませんが、方針に反映させることをお約束します。よろしくお願いします」と言って、退室するのだ。  議論をしている会場から退室してしまえば、角突き合わせることは決してない。当事者同士を対峙させないということが実現できるのだ。  このように申し上げると、「当事者同士が角突き合わせていてさえ、対立解消できないのだから、対立相手に検討を任せてしまったら、とんでもないことになる」「コントロールできない状況に陥る」「無責任だ」というリアクションにあうこともある。しかし、私の経験をふまえて申し上げれば、退席したほうが間違いなく対立の解消度合は高まる。それも、B部門のメンバーの考え方が多様であればあるほど、対立解消度合は高くなる。  イラストにあるように、A部門の代表の考え方が0の位置にあるとする。B部門の考えは、5の位置から10の位置に広がっているとする。数が0に近づくほど対立の度合は低く、10に近づくほど対立の度合は高い。B部門のメンバーが多様であるということは、5から10の間に考え方が広がっているということだ。  A部門の代表が方針説明したあとは、B部門のメンバーだけで検討をする。検討の仕方そのものの手法にもいくつかあるが、それは別途紹介することにしよう。部門のメンバーが多様であればあるほど、一定時間後の検討結果は、B部門のメンバーの中央値に収まる。B部門の考え方が5から10の位置に広がっているとすれば、7.5の位置に収まり、対立解消度合は2.5ということになる。  B部門の検討が終わったら、A部門の代表が再び入室し、B部門のメンバーへ「ご検討いただき、ありがとうございました。検討結果を共有していただけますでしょうか」と聞く。そして、冒頭で伝えたとおり、すべてではなくとも、検討結果を方針に反映させることを約束するのだ。  B部門のメンバーの考えかたの広がりが小さく、たとえば、8から10の間にしか広がっていなければ、一定時間後の検討結果は9になり、対立解消度合は1にとどまる。現在のところ、この方法が対立解消にもっとも効果的だ。  その場で直接議論を交わして、結論を出そうとするのは、かえって逆効果。あえて席を外し、相手に検討させるほうが解決の糸口が見つかる可能性は高まるのだ。  この方法は部門間の対立にも使えるし、上司と部下、個人と個人の対立にも効果がある。少なくとも、角突き合わせ続けて、対立がますます激化するより、よほど効果がある。ぜひ、試してみてはいかがだろう? 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第110回】 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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