部門や社員間の対立。当事者同士の徹底討論は逆効果?

山口博
 日々の仕事をしていくなかで、仕事相手と対立してしまうことは日常茶飯事だ。上司と部下、正社員と派遣社員、本社と現場、正社員と派遣社員、営業一部と営業二部、M&A(企業の合併、買収)をした企業とされた企業……。その度合に大小はありこそすれ、対立したことのないというビジネスパーソンはごく稀であるに違いない。

対立解消するには、直接向き合わない

photo via Ashinari

 私が実施しているビジネススキル向上演習の参加者に、対立してしまったとき、どのようにしてそれを解消しようとしているかを聞いてみると、次のような答えが返ってくる。

・対立をおそれずに、とことん議論する
・急激に解消しようとせずに、時間をかけて段階的に解消しようとする
・俯瞰して議論する
・共通の目標を意識しながら議論する
・第三者を入れて、客観的な意見を参考にしながら、議論する
・仲介者を入れて、議論をする

 これらの方法の共通点は、対立している当事者同士をとことん議論させるというものだ。そしてこれらの手法が対立解消に役立っているかということをお聞きすると、さほど役立っていないというように答える人が多い。

 役立っていないどころか、対立解消しようと議論すればするほど紛糾する、俯瞰すればするほど彼我の差が明らかになる、仲介者を入れればますます議論が白熱する……といった具合だ。お互いに角突き合わせているときに、議論をし続けることは、火に油を注ぐようなものなのだ。

 そして、いよいよ対立を解消できないと思い始めると、自部門だけでできることを考えて実行する、対立している点は後回しにするというように、対立の問題を先送りするケースや、なかには、それ以上議論しても無駄なので、対立解消を諦めて自部門でやるべきことをやるというケースまで出てくる。

 筆者は20年来、スキルをパーツ分解してコアスキルを反復演習する「分解スキル反復演習型の能力開発プログラム」を実施してきた。そして、そのなかで対立解消のためのさまざま方法を試している。しかし、いまだに、一気に対立を解消することができる手法は開発できていない。

 ただし、段階的に対立を緩和する手法は見出すことができている。それは激しい対立を生みがちなM&A後の組織や人の統合のプログラムのなかで、対立解消効果が確認されている方法だ。その中身とは、対立している当事者同士を、そもそも角突き合わさせないという方法だ。

 こうした考えに対して、「対立解消のための手法なのだから、お互いを角突き合わせないとはどういうことだ」「お互いに対峙しなければ、対立解消できるはずがない」「目の前の問題から逃げてどうするのだ」……と思う方も多いだろう。

 このようなリアクションが生まれるということ自体が、対立している者同士がとことん議論しなければ、対立は決して解消できないという固定観念に陥っている証しである。

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