欧米人にはわからないようだが、日本人や中国人、韓国人は完璧ではないにしても自国人を見分けることができる。それは服装や顔つき、ジェスチャーなど、いろいろなポイントがある。筆者はもしかしたら髪型がそれなのではないかと思っている。
そう思うようになったのは、筆者のこんな経験からだ。
タイ在住が15年を超える筆者は日本人美容院どころか、タイ人の美容院にも行かず、理容室、いわゆる床屋に行っている。
あるとき、成田空港の免税店で焼酎を吟味していた。タイは日本産の焼酎にかかる輸入関税は0%になっているが、酒税はいまだ高率でタイ国内の販売額は高い。だから日本の免税店で買って、タイ在住の友人らと楽しむつもりだった。とはいえ、焼酎の知識が乏しく、免税店で瓶を手にしてじっくりと読み比べていた。
すると、免税店の日本人店員が近づいてきて、こう言ったのだ。
「ディス・イズ・ジャパニーズ・リカー、あ~・・・・・・」
なんと英語で焼酎の説明を始めた。英語があまり得意ではないのか、それで目の奥に焦りがあったのかもしれない。「え?」と思わず言ってしまったが、それでも英語で話し続けるのでこちらも悪くなってしまい、「オー、イエス」なんて返してしまった。
このときに着ていた服も持っていたカバンもなにもかも日本で買ったものだ。外見から外国人と判断されたとしたら髪型しかない。だから、髪型も日本人に見えるか見えないかに関わる重要なファクターなのかもしれないと思った次第だ。
あなたも一度タイの床屋で髪の毛を切ってみたらどうだろうか?
ベトナム・ハノイの路上床屋。タイは保健省の条例などが案外に厳しく、路上床屋は見かけない
<取材・文・撮影/高田胤臣(Twitter ID:
@NatureNENEAM)>
たかだたねおみ●タイ在住のライター。近著『
バンコクアソビ』(イースト・プレス)