写真:Sipa USA/時事通信フォト
「トランプ」を主語にしてでしか、考えることができない日本メディアの稚拙さ
以前も本欄で書いたと思うが、家で仕事をしているときは常にCNNを流しっぱなしにしている。音がないと原稿が書けない私と、テレビが流れているとつい見入ってしまう子供たちの妥協案だ。音が英語であれば、子供たちがテレビに気をとられることはない。
しかし、中間選挙の前後はそうとはいかなかった。ずーっとテレビにトランプ大統領が映りっぱなしになっている。もちろんCNNだから論調はトランプ大統領に批判的。しかし、トランプのあの下品な喋り方は小さい子供の心に響くらしい。英語を一切理解しないにもかかわらず、トランプが映るたびにテレビに見入っている。その結果、子供たちは「ここまでテレビに映り続けるのだから、トランプはすごい人物なのかもしれない」と思い込むようになってしまった。
もちろん、アメリカ合衆国大統領なのだから「すごくない」とは言えない。世界で最も影響力を有する職業であるとさえ言えるだろう。だがあくまでもその職務は、有権者の投票行動により付与されあるいは剝奪される。
今回の中間選挙でアメリカの有権者が示した結果は、上院での与党共和党過半数維持、下院での野党民主党の過半数奪取。各州の州知事選挙での民主党の伸長というものだった。
選挙結果が判明しだした11月7日ごろから、日本のメディアはさまざまな報道を出し始めた。
曰く「トランプ氏は上院での勝利を優先させた」あるいは真逆に「トランプ氏に厳しい結果」などなどとその内容はさまざまだ。今回の選挙結果をどう捉えてよいか総括し切れていないということなのだろう。
しかし、日本の報道は、すべて「トランプ」が主語であることは共通している。まるで、トランプに見入ってしまい、トランプだけがアメリカかのように勘違いした我が家の子供のようだ。