「トランプ」を主語にしないとアメリカ政治を語れない日本メディアの稚拙さ

 そこからは「アメリカの有権者が何を考えたのか」という視点が完全に抜けている。例えば今回の選挙では共和党の候補までが健康保険制度に言及するなどこれまでは想像だにできなかった光景が繰り広げられていた。アメリカの有権者はなにも地元の下院議員や知事を選ぶときに、トランプへの評価だけで選好したのではない。生活に密着した問題もあれば各地域特有の課題もある。そうした全米各地の有権者のさまざまな選好が積み重なって、今回の総括しがたい複雑な選挙結果が示されたのだ。  トランプに見惚れ、トランプを主語に考え続ける限り、有権者の選好を真剣に分析する地に足のついた総括など望むべくもないだろう。  もっとも、成熟した代議制民主主義の特徴であるはずの「ねじれ」を、いつまでたっても問題視するような日本のメディアに、地に足のついた議論など望むべくもないかもしれないが……。 【菅野完】 1974年、奈良県生まれ。サラリーマンのかたわら、執筆活動を開始。2015年に退職し、「ハーバービジネスオンライン」にて日本会議の淵源を探る「草の根保守の蠢動」を連載。同連載をまとめた『日本会議の研究』(扶桑社新書)が第1回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞を受賞。最近、どこよりも早く森友問題の情報を提供するメルマガが話題(https://sugano.shop/) 写真:Sipa USA/時事通信フォト ― なんでこんなにアホなのか ―
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