極右ブラジル大統領ボルソナロ最初の試練。在イスラエル大使館移転を巡るアラブ諸国との板挟み

白石和幸

photo by Senado Federal via flickr(CC BY 2.0)

 来年1月1日からブラジルの大統領に就任することになっているジャイル・ボルソナロに最初の問題が起きている。
 問題とは、彼は選挙戦中から在イスラエルのブラジル大使館をテルアビブからエルサレムに移館させると断言していたことについてだ。

大使館のエルサレム移転を翻意?

 彼がまだ下院議員で大統領候補という段階ではこの断言は問題にされなかった。ところが、彼が次期大統領に就任することが決まった途端、事態は一変した。

 最近のボルソナロは、エルサレムへの移館について尋ねられると「まだ決定されてはいない」という発言に変わっているのである。(参照:「ABC」)

 その理由は、大使館をエルサレムに移すことにアラブ諸国が猛烈に反発しているからである。それがブラジルの重要輸出品目である肉のアラブ諸国への輸出に影響する可能性が出ているのである。

アラブ諸国反発の「前兆」となった2つの出来事

 その前兆として、つい最近次の二つの出来事があった。

 テメル現大統領政権下のアロイシオ・ヌネス外相は、エジプトを訪問してシーシ大統領そしてサーメハ・シュクリ外相と会談する予定になっていた。ところが、先方から日程上の都合がつかないということで、ヌネス外相の訪問を受け入れることができないという回答あったのである。しかも、その代替日の提案もないという。

 この通知を受ける2日前に、ブラジル外務省の二人の官僚からロイター通信に先方の取り消しは大使館を移すことが理由だと伝えられたそうだ。(参照:「HispanTV」)

 同様に、ブラジルの貿易ミッションがエジプトを訪問する予定になっていたのもキャンセルせねばならなくなったという。これも日程の都合上というのが先方からの理由だという。(参照:「HispanTV」)

「ハラール」肉最大の生産国であるブラジル

 ブラジルの輸出企業の中でも特に不安を強く感じているのは肉類の輸出業者であるという。農業牧畜相に就任する予定になっているテレサ・クリスチーナ・ダコスタのもとには輸出業者からの不安が伝えられているそうだ。

 アラブ諸国への2017年の輸出金額は135億ドル(1兆4900億円)。肉類については、今年に入って1月から9月までの輸出量は22万9000トン、アラブ諸国向けはブラジルの肉類の全輸出量の19%を占めるという。しかも、ブラジルはイスラム法で許されている「ハラール」肉では最大の生産国でもある。(参照:「HispanTV」、「ABC」、「El Periodico」)

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エルサレム移転は宗教保守の支持勢力のため?
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