市民連合と野党共闘を確認した日に、自民党幹部と会合
玉木代表との会見を終え、記者の質問に応じる山口二郎・法大教授
実は11月6日に、2016年の参院選、2017年の衆院選で野党候補の一本化で中心的役割を果たした「市民連合」の山口二郎・法政大学教授が党本部で玉木代表ら国民民主党・幹部と一時間半にわたる会談を行い、安倍政権打倒、憲法改正阻止のために国会・選挙で野党共闘していくことを確認していたのである。
会談後、山口教授は記者の質問に応じて「うちは総選挙2017で『希望の党』を支援しなかったから、小池百合子・都知事のあとを次いで『希望の党』代表になった玉木代表とはわだかまりがあった。しかし今日会談して、過去のわだかまりが溶け、終始なごやかな雰囲気で終わった。今後は国民民主党も含めて野党5党一会派が結束して、安倍政権と対峙することが確認でき、実りのある会談だった」と述べた。
山口教授も、まさかその後に、玉木代表が自民党幹部と密談の約束をしていたことは知らなかっただろう。
自民党との「対決も解決も必要」と言いながら、迷走する国民民主党
国民民主党が結成されて11月7日で半年となったが、この間、ずっと迷走を続けている。徹底追及型の立憲民主党と差異化するため玉木代表は結党に際して「対決でなく解決」をスローガンに掲げ、自民党との対話路線をとった。
典型的なのが、先の通常国会の対応だ。「過労死促進法」との異名をとる「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)に野党は結束して反対していたのだが、国民民主は土壇場になって採決に応じた。結果、高プロは与党の強行採決ではなくなってしまった。
代表選で対立候補だった津村啓介衆院議員がこの中途半端な姿勢を厳しく難詰すると「対決も解決も必要」「代表が先頭に立ってバッタバッタと切り込んでいく」と対決路線に舵を切った。ところが、改憲路線で再び自民党との対話路線を玉木代表は明言した。全国紙の野党担当記者は語る。
「わずか半年で、二転三転四転五転六転して七転八倒してる感じです(笑)。結党以来、支持率は高くても1%台、1%を切ることもある。野党第二党で存在感を発揮しようと玉木氏は躍起なのですが空回りしてる。対話路線をとって安定感を示しても支持率は上がらない。対決路線をとって安倍政権に厳しく対峙しても上がらない。
党独自が実施した調査では、同党の有権者への浸透率は5割程度で、幹部は青ざめました。そもそも国民の半数に知られていないのです。来年の参院選が終われば、同党が消滅してしまうことは党関係者ですら覚悟しています。
いっそのこと、玉木代表が会見で約束した『#ケチって火焔瓶』の問題を炸裂させれば良いのです。それくらいしか、独自色は示せませんね」
今や、自民党と接近することぐらいしか報道されなくなってしまった同党の行く先は、どうなっていくのだろうか。
<写真・文/及川健二(日仏共同テレビ局France10日本支局長) TwitterID
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