米国の対イラン制裁除外対象8か国にイタリアが入った背景にあるトランプの戦略
El Observador」)
イランの外貨を稼ぐ柱になっている原油の輸出をゼロにさせようというのが米国の狙いであるが、米国のポンペオ国務長官は既に「20か国がイランからの原油の輸入を中断した」と述べた上で、イランからの原油の輸入量が多い5か国(中国、インド、韓国、トルコ、イタリア)に他3か国(日本、台湾、ギリシャ)を加えた8か国に対しては180日間のイラン原油の輸入を認めた。
上院外交委員会メンバーのマルコ・ルビオ上院議員は中国が8か国の中に含まれていることに対して、できるだけ早く、中国はこのリストから外すべきだとメディアを前に発言している。(参照:「El Observador」)
この8か国の中になぜイタリアが含まれているのかということについて、ジャーナリストでローマを基点に活動しているイレネ・サビオ(Irene Savio)がスペイン電子紙『El Confidencial』(11月7日付)に専門家の意見も加えて興味ある分析をしているのでその内容を以下に紹介しよう。
イタリアは今年に入って以来、最初の8か月は5200トンの原油をイランから輸入している。イタリアにとってイランはイラクとアゼルバイジャンに続く3番目に位置する輸入相手国だという。その量はイタリアの原油全輸入量の12.5%を占めるとされているという。
イレネ・サビオによれば、雑誌「Limes」のディレクターであるルッチオ・カラチオロが、イタリア経済紙「II Sol 24 Ore」に<「イタリアが(この8か国リストに)入ったのは偶然ではない。数か月前から欧州連合と真っ向から対決しているイタリア政府へのプレミアムのようなものだ」>とで語っていたという。
更に彼女は、同氏が<「トランプ政権において、現在のイタリアは関心の持てるパートナーとなりうる」>と見て、<「(トランプ政権は)同盟(Liga)と五つ星(M5S)の連立政権に関心を示している」>と指摘していることに触れている。
この点については、ドイツで活躍しているジャーナリストベンハミン・アルバレスも、電子紙「D.W.」において、<コンテ伊首相がトランプの経済政治を称賛し、(イタリアは)ヨーロッパで米国から特恵を受けた仲介国だと自画自賛している>と言及している。
どうやら、トランプと最近イタリア政権を握った同盟&五つ星の右派ポピュリズム政権が接近していることが今回の制裁除外8か国に入った一因だと見られているようだ。
11月5日、米国は2段階目となるイランへの制裁を再開した。その対象になったのは700以上の個人、及び主要銀行、原油の輸出企業、船会社などである。
イランの原油産出量は昨年、日量400万バレル以上と推定され、それが今年は100万バレルまで落ちているという。また、これまでイランからの原油の輸入量の上位は中国、インド、韓国、トルコ、イタリア、日本などとなっている。(参照:「なぜイタリアも8か国の中に入ったのか?
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