敵を作り支持を固める政治手法は、暴力となって具現化する

 折しも、ホワイトハウスの広報部長を一時務め昨年8月に更迭されたアンソニー・スカラムチ氏が、トランプ大統領について「意図的なうそつきだ。ただのうそつきとは全く違う」としたうえで、「左派系の記者や政治家など特定の人々の怒りをかき立てて、自身の支持基盤を刺激するためにうそをついている」と暴露した。  為政者の言葉は重い。為政者の言葉は必然的にそのまま社会事象となる。今回は為政者の言葉が郵便爆弾として具現化したわけだ。  為政者が「あいつらこそが敵だ!」と誰かを指さし支持基盤を鼓舞する手法は、なにもトランプ大統領の専売特許ではない。我が国でも、大阪や東京の知事選のみならず、国政選挙でも近年繰り返し使われるようになった手法だ。  もうこの手法はやめよう。いずれこの手法は、暴力となって具現化するのだから。 【菅野完】 1974年、奈良県生まれ。サラリーマンのかたわら、執筆活動を開始。2015年に退職し、「ハーバービジネスオンライン」にて日本会議の淵源を探る「草の根保守の蠢動」を連載。同連載をまとめた『日本会議の研究』(扶桑社新書)が第1回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞を受賞。最近、どこよりも早く森友問題の情報を提供するメルマガが話題(https://sugano.shop/) 写真:FBI/ZUMA Press/アフロ ― なんでこんなにアホなのか ―
すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(sugano.shop)も注目されている
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