新iPhone、2種類の「デュアルSIM」。その違いと背景に「中国市場」の存在

田村和輝
iPhone XSとiPhone XS Max

iPhone XS(右)と大型のiPhone XS Max(左)

 米Appleが発売したiPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR。いずれもiPhoneとして初めて「デュアルSIM」に対応した。しかし、2種類のデュアルSIMが存在しており、その違いと背景を紹介する。

初めてデュアルSIMに対応

 2018年9月21日に発売したiPhone XSとiPhone XS Max、2018年10月26日に発売したiPhone XR、いずれもデュアルSIMに対応する。これにより、1台の端末で2回線を同時に併用できる。

 個人用と仕事用の2回線、データ通信に特化したプランや音声通話に特化したプランなど異なるプランの2回線、海外渡航時に自国と渡航先の2回線など、様々な利用シーンが考えられる。Androidを搭載したスマートフォン(スマホ)ではデュアルSIMに対応した機種も多く、日本ではSIMロックフリーのスマホでよく見られる。しかし、iPhoneでは長らくデュアルSIMに対応せず、3機種の新型iPhoneで初めて対応した。

 ただ、後述するが現段階で日本版の新型iPhoneのデュアルSIMの形式では、まだNTTドコモとau(KDDIおよび沖縄セルラー電話)は非対応で、ソフトバンクも対応予定としているだけで、現時点では海外の通信事業者を契約する場合を除き、日本ではデュアルSIMの恩恵を受けることはできない。

2種類のデュアルSIM

 新型iPhoneには2種類のデュアルSIMが存在する。まずは物理的なICカード型のNano SIMとeSIMのデュアルSIM、もうひとつはNano SIMが2つのデュアルSIMである。Androidを搭載したスマホでは後者が一般的だ。

 中国本土版のiPhone XS、中国本土版、香港版、マカオ版のiPhone XS MaxとiPhone XRを除いた新型iPhoneはすべてNano SIMとeSIMのデュアルSIMで、日本版もこの構成となる。そして、中国本土版、香港版、マカオ版のiPhone XS MaxとiPhone XRはNano SIMが2つのデュアルSIMだ。中国本土版のiPhone XSのみデュアルSIMに非対応でシングルSIMとなる。なお、本稿では特別行政区を除いた中華人民共和国(中国)を中国本土と明確化する。

iPhone XR

カラフルな本体色のiPhone XR

次世代SIM規格「eSIM」とは?

 Appleは2018年10月31日(日本時間)よりiOS 12.1の提供を開始した。新機能にはeSIMの有効化が含まれ、iOS 12.1を導入した新型iPhoneでeSIMを活用してデュアルSIMを利用できる。

 このeSIMとは主に組み込み式のチップ型SIMカードまたはリモートSIMプロビジョニング(RSP)に対応したSIMカードを指す。通信サービスの利用にはSIMカードに電話番号や契約内容などの加入者情報(プロファイル)を書き込む必要があり、遠隔でプロファイルを書き換える技術がRSPだ。業界団体のGSMアソシエーション(GSMA)がRSPを策定しており、新型iPhoneのeSIMもGSMAの標準規格に準拠する。なお、RSPに対応したeSIMは新型iPhoneのように内蔵式のほか、eSIMの機能を持つICカード型SIMカードも存在する。

 なお、日本の通信事業者が販売した個体はSIMロックがかけられており、eSIMにも有効であるため、eSIMでも他社を使う場合はSIMロックの解除が必要となる。

eSIMの設定画面

iOS 12.1を導入したiPhone XSにてeSIMの設定画面

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中国市場を意識したデュアルSIMの布陣

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