中国初、民間ベンチャー開発のロケットが衛星打ち上げに挑戦。驚異的な発展をする中国宇宙ベンチャー

朱雀一号

ランドスペースが打ち上げた「朱雀一号」 (C) Landspace

 中国のベンチャー企業「ランドスペース(Landspace、藍箭航天)」は2018年10月27日、同社が開発した衛星打ち上げ用ロケット「朱雀一号」の、初の打ち上げを実施した。  衛星の軌道投入には失敗したものの、次の打ち上げ、そして事業の成功に向けて、大きな一歩を踏み出した。

ランドスペースと「朱雀一号」

 ランドスペース(Landspace、北京藍箭空間科技有限公司)は、2015年に清華大学発のベンチャーとして設立された。国や民間のベンチャー・キャピタルなどから投資を受け、さらにノルウェー企業からの打ち上げ受注も取り付けるなど、着実な歩みを進めている。 「朱雀一号」は同社が初めて開発した、全長19mの小型ロケットで、地球を回る高度200kmの軌道(地球低軌道)に300kg、地球を南北に回る高度500kmの軌道に200kgの打ち上げ能力をもつ。  今回が朱雀一号にとって初めての打ち上げで、中国国営のテレビ局CCTVの小型衛星「未来」を搭載していた。  ロケットは日本時間27日17時(現地時間16時)に打ち上げられたが、同社の発表によると、衛星を軌道に投入することができず、打ち上げは失敗に終わったという。第1段や第2段の飛行までは正常だったものの、第3段の飛行中にトラブルが起きたとされる。  あらためて宇宙の、そしてロケット開発の難しさを知らしめた形となったが、初の打ち上げで成功の寸前までいったことは大きな成果であり、同社は次の打ち上げ、そして事業の成功に向けて大きな一歩を踏み出した。  ランドスペースはまた、独自に新たなロケットエンジンの開発にも挑んでおり、すでに燃焼試験にまでこぎつけている。このエンジンを使う「朱雀二号」も開発中で、完成すれば「朱雀一号」の約10倍の打ち上げ能力をもつロケットになるという。
次のページ
わずか3年でロケット開発成功。ランドスペース社はなぜ躍進した?
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会