組み立て中の「朱雀一号」 (C) Landspace
こうした流れに乗ろうとしているのはランドスペースだけではない。中国のロケット・ベンチャーは、わかっているだけでもすでに10社近く立ち上がっており、その中にはランドスペースと同じくらいに、衛星の打ち上げ成功に近づいている企業もいくつかある。
たとえば「ワンスペース(OneSpace)」、「アイスペース(i-Space)」といった企業は、高度100kmまで到達できるロケットの打ち上げに成功しており、現在は衛星を打ち上げられるロケットの開発も進めている。このうちワンスペースは、早ければ今年末にも打ち上げに挑むとされ、ランドスペースと「中国の民間初の衛星打ち上げ」の座をめぐって競争となっている。
また、「リンクスペース(LinkSpace)」という会社は、イーロン・マスク氏率いる米国の宇宙企業「スペースX」のように、垂直離着陸して再使用できる、先進的なロケットの開発を進めており、すでに飛行試験も行っている。
さらに、ロケットだけでなく衛星開発のベンチャーも活発で、今回の「未来」を開発したのも「微納星空(MinoSpace)」というベンチャー企業だった。ロケットと並行して、衛星ビジネスも育ちつつあるということは、中国国内だけでかなりの打ち上げ需要が見込めるということを意味する。
中国の宇宙ベンチャーは、驚くべき数と、そしてスピードで発展している。
もちろん課題は多い。今回の打ち上げ失敗からもわかるように、ロケット開発は難しく、ビジネスとしてリスクは大きい。米国でも1990年代以降に、まさに現在の中国のように多数の宇宙ベンチャーが立ち上がったが、いまも生き残っているのはごくわずかしかない。いまをときめくスペースXは、その数少ない代表例である。
それでも、いまの勢いが維持されるならば、過去の米国並みか、あるいはそれ以上に、生き残り、成長する企業は出てくるだろう。いずれ彼らが「中国版スペースX」になるかもしれないし、あるいは本家スペースXを食らうほどの存在に成長する可能性もあろう。
<文/鳥嶋真也>
宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関する取材、ニュース記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。著書に『
イーロン・マスク』(共著、洋泉社)など。
Webサイト:
http://kosmograd.info/
Twitter: @Kosmograd_Info(
https://twitter.com/Kosmograd_Info)
【参考】
・(
https://www.weibo.com/ttarticle/p/show?id=2309404299828510252955#_0)
・(
http://www.landspace.com/site/zq1)
・(
http://www.landspace.com/news?id=1018)
・Chinese commercial provider LandSpace launches Weilai-1 on a Zhuque-1 rockets – fails to make orbit – NASASpaceFlight.com(
https://www.nasaspaceflight.com/2018/10/chinese-landspace-launches-weilai-1-zhuque-1-rocket/)
・Landspace fails to reach orbit with milestone private Chinese launch – SpaceNews.com(
https://spacenews.com/landspace-fails-to-reach-orbit-with-milestone-private-chinese-launch/)