元日経記者が提言。ネット株投資で利益を出すために、NY市場の動きをチェックせよ

ny証券取引所

ニューヨーク証券取引所

 時差の関係から、NY市場の株価動向やドル円相場、シカゴ日経平均先物の行方は、その日の日本の株価に大きな影響を与えます。東京市場が始まる前にニューヨーク市場の動向をチェックしておけば、売り予約や買い予約をすることが可能になります。予約価格は市場が始まってから必要な修正をしますが、私の場合、東京市場開始30分が勝負と見て売買しています。今回はNYダウについて説明しましょう。

ダウ下落、株安連鎖で世界を揺らす

 NY証券取引市場の代表的な株価指数が、ダウ工業株30種平均です。通称NYダウ、ダウ平均株価、さらに簡略化してダウなどと呼ばれています。工業関係の企業株のたった30銘柄の平均株価が、ニューヨーク証券取引所で売買される膨大な株の動きをよく表わしているので、新聞やテレビニュースに頻繁に登場します。  最近NYダウの動きが新聞やテレビで大きく報道されたのは、10月10日(水)の暴落です。同日ダウは終値で前日比831ドル安と急落しました。その影響は翌11日(木)の東京市場を直撃し、日経平均も前日比915円安の2万2590円まで低下しました。
NYダウは7月以来の最安値に

NYダウは7月以来の最安値に

 ダウ下落の最大の理由は米金利の上昇です。長期金利が7年半ぶりに上昇、米国景気や企業業績に与えるマイナス影響が嫌気されました。ダウは翌日11日にも前日比545ドル安と続落し、2日間で1300ドル以上も下落しました。この影響は日本だけではなく中国などのアジア株、英国やドイツなどの欧州株にも伝播し世界の株価の大幅下落を誘発しました。  11日の『日経新聞』は朝刊1面のトップ記事で、「NY株831ドル、日経平均915円下げ、株安連鎖 世界を揺らす、米金利上昇が引き金」と大きく報じました。

わずか30銘柄で構成される、ダウ工業株30種平均

 NY証券取引所に上場している企業数は2018年5月末現在2293社もあります。わずか30銘柄で2000社を超える企業の株価の動きを実によく表しているのはとても奇妙な感じがしますが、この30銘柄を選んで平均するやり方に実は奥深いノウハウが詰まっているからです。  同様に、日本では日経平均株価(略称日経平均)があります。東京一部上場銘柄の中から225銘柄を選んで指標化したものです。東京市場の株価の動きを表わす代表的な指標として扱われています。  実はこの指標は、日本経済新聞社が米ダウ・ジョーンズ社から指標づくりのノウハウを何百億円という金を払ってつくったものです。3600社を超える東証上場企業の株をすべて集めて平均したものではありません。  たった225社の平均の方が、株価全体の動きをうまく表していると言われています。有名企業であっても発行株式数が少なく、あまりにも毎日の変動が激しい株、時代から取り残された企業の株、彗星のように現れ消える企業の株などを排除しているわけです。
次のページ
アメリカの変化を象徴するダウ銘柄
1
2
3
4
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会