そもそも既存の現世の考え方から開放されることを目的としたスピリチュアルそのものの概念からも大きくはずれている。スピリチュアルとは社会に対するオルナティブな存在、つまり既存の常識とは違うもの、現存する思想と相反する存在として普及してきた。にもかかわらず、現存する社会規範を強制するのは、スピリチュアルではなく、ただの霊感商法の一種でしかない。
しかし、子宮系は女性の弱点をつきやすく、広がる速度が速かった。
それに加えてこの一派の代表的なヒーラーが引退を宣言したことも加熱の要素になった。その人気ヒーラーの鑑定料は一人30万円というから高額だ。全国からファンが鑑定に殺到し、しまいには鑑定も個人別にすることをやめていっぺんに何千人もまとめて鑑定しますと言い始める始末。
効率アップで、売上は一億円にもなったという。ある報道によれば、この子宮系の一員が元フリーアナウンサーの小林麻耶さんの結婚相手だという。ますます根深い問題をはらんでいるといえよう。
当然、姉の信仰している子宮派療法が、妹である小林真央さんのがんの治療として行われた可能性は決してゼロではないだろう。もしそうだとしたら、子宮派の主催者や信者は真央さんの死についてどう考えているのだろうか。
もし、あなたの妻がこの一派にはまっていたら、夫としてどうやって説得できるだろうか。目に見えないものは証明できない。実質的に宗教化しているスピリチュアルが危険な理由はそこである。
スピリチュアルは宗教ではないので脱会するような具体的な手段が存在しない。辞めさせるには妻の不満を解消し、幸福感に満ちた生活を与えるしかないが、夫としてはそのほうが難しいのはいうまでもないだろう。
<文・小出平走歌>