民泊OKだったのに、家主がまさかの裏切り。ドツボへ~金欠フリーライター、民泊を始める(2)

民泊経営許可

晴れて「合法的に」民泊経営許可を得た筆者。それまでの過程はすったもんだの紆余曲折続きであった

奈落の底からさらにドツボへ

 前回、観光庁の禁じ手・違法行為により自宅にあるエアビー封鎖の憂き目にあった筆者。  友人に浅草近くに所有するマンションの一室を民泊に提供している男がいるが、聞いてみると彼のところもやられたという。色々情報交換してみると、そんな登録作業も荒川区では異様に厳しく、墨田区はユルユルなのだという。  ここで、筆者が民泊を行っていた物件を簡単に紹介しておきたい。  場所は東京メトロ日比谷線の三ノ輪駅と南千住駅のちょうど中間地点である。すなわち、南千住にあるつくばエクスプレスを活用すれば浅草にも一駅で出られることになる。  物件は昭和28年築のよくいえば古民家、悪く言えばボロ家だ。筆者が民泊を前提に借りた2015年6月の時点で、二年間空き家だった。当然家主としては埋めたかったはずだ。そこで管理会社を通じて民泊を行うことを伝え、承諾を得た。  当然、賃貸契約書の中に「転貸禁止」の一項は入っていなかった。間取りは二階建ての3DKで、一階に台所と風呂、そして筆者の寝室六畳一間の和室があり、二階には六畳の洋間と八畳の和室、そしてバルコニー及びトイレがついていた。筆者はこの二階の二部屋を民泊用にして貸し出していた。  お金の話をすると、だいたい八畳の和室は一晩40ドルくらい、六畳の洋間は30ドルくらいで貸すことが多かった。ただ、花見の時期は60~70ドルでも埋まった。  また直前三日前くらいになると20ドル代前半にすることもあった。この宿泊代とは別に清掃料金として40ドルをもらい、清掃業者に来てもらうようにしていた。こうして二部屋で年間約二万ドルの売り上げがあがっていたことになる。もちろん、この収入は確定申告に入れてある。
エアビー

筆者が運営していたエアビーは年間2万ドル程度の利益が上がっており、それが主な収入源だった

 この借家の家賃は12万円、そして水道光熱費やネット接続代などがかかるわけだが、この売り上げでそれらを賄うことが可能であることがおわかりだろう。  筆者の友人でも誤解している人がまだ多いのだが、「タカ大丸は原稿料で食っている」わけではないのだ。「民泊で最低限の生活の糧を確保し、その上で書きたいことだけを書いて生きている」のである。  前回記事の中で、「反韓ヘイト本を出版社が発売し、ベストセラーになる構造」について解説したが、その点、筆者はそういう良心に反する仕事をする必要がない。もちろん、ゴーストライターもいない。だから、タカ大丸名義で世に出ている原稿は正真正銘筆者の手によるもので、かつ筆者が本当にそう思っている、真意に基づくものだと思っていただいてかまわない。  さて話を本題に戻すが、とにかく今できることとしてはとにかく登録作業を急ぐしかない。しかも定例のバンコクでの歯科検診も控えている。気は焦るばかりだった。  戸籍謄本が届くまでどのみち一週間かそこらはかかるわけだが、可能な限り必要書類を揃えて再び台東区の保健所に行った。すると、担当者がこう言った。 「借家で民泊事業をされる場合は、家主さんの承諾の一筆が必要です」 「何か形式等はありますか?」  筆者が聞くと、「特にありません。便せん一枚に承諾の旨を書いて捺印があればそれで充分です」という。  一つ気になることがあった。管理会社の反応である。  当時の家の管理会社は徒歩五分程度のところにあり、駅に向かうときには必ず通りかかる。なのでよく挨拶をしたり、何か不具合があれば相談することもあった。  そこでこの管理会社に「家主の一筆」の話をすると、態度が急変した。 「なんですかそれは? 私自身、“民泊”という言葉自体を聞くようになったのがこの一年くらいの話で、大丸さん宅でそんなことをしていたとは知りませんでした。契約違反です」  目が点になった、とはこのことである。
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予想外の、家主による手のひら返しをくらい途方にくれる
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※本連載では、今回人生が激変した民泊ホストの声を募集しております。ぜひ、こちらからご一報ください。hbo.q@fusosha.co.jp

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