ではどうすればいいのか? バレないミラーリングは前述したとおり、単に仕草を真似するだけではない。相手の話すペースや表情に合わせるのもミラーリングにおいては重要なのだ。
「表情を合わせる」
ミラーリングの目的は「共感」である。つまり、相手の感情を理解し、伝えてあげることが重要となる。表情を真似することで、相手の感情を自分のなかで再現するのだ。これによって、相手が求めている言葉や感じていることに共感しやすくなり、「心が通じている状態」を作り出すことができる。
人は真剣な話をするときは、相手にも真剣に聞いてほしいし、悲しい話をしているときはその悲しさに共感してほしいもの。相手の表情を真似することで自分の感情を可視化し、伝わりやすくするのだ。こうして「自分のことをわかってくれている」という共感を生むことができる。
筆者は、この「表情を合わせる」ことが、共感を得るための最も効果的な方法だと考えている。
「話すペースを合わせる」
こちらも比較的実践しやすいミラーリング技術のひとつ。人は話すスピードと思考スピードが同じな場合が多く、じっくり考える人はゆっくり話をするし、スピードをもって考える人は早口になってしまう。
そのため、お互いの話すペースが合わないと、「この人とは話が合わない」「何を言っているのか理解できない」と思われてしまい、信頼関係を築くことができない。そもそも、何を言っているかわからない人と一緒にいるとストレスが溜まってしまうので、次のアポイントにも繋げにくくなってしまうだろう。プレゼンでも営業でも、相手の話すスピードに合わせるミラーリングを活用していただきたい。
ミラーリングはステップ・バイ・ステップ。もちろん、慣れてくれば「動作を合わせる」「相手の口癖を真似する」「呼吸を合わせる」などを実践するのもいいだろう。しかし、これらは効果的であるいっぽう、最初からやるには難しく、リスクが大きい。
特に「動作を真似るミラーリング」は諸刃の剣で、バレやすいが、気づかれずに成功すれば、その効果は大きい。どうしても動作を合わせるミラーリングがしたい場合は、相手の動作が終わってからか、数秒ずらして真似をするのもいいかもしれない。
慣れてきたら、「呼吸を合わせる」という方法を実践してみよう。相手の発言のタイミングや、肩の上がるタイミング、お腹が膨れるタイミングを見て、呼吸を合わせると、さらに強い信頼関係を築けることができる。まずは表情や話すペースを合わせる練習を積んで、観察力やコツを身につけてから、実践していただきたい。
日本語には、ミラーリングのヒントがたくさん隠されている。「息が合う」「阿吽の呼吸」「心が通う」といった状態を、意図的に引き起こすのがミラーリングである。
また、ミラーリンクを実践して、ラポールが築けると相手も自分の仕草を真似するようになる。ぜひ仕事やプライベートで実践して練習を積み、その効果を実感していただきたい。
次回は、信頼関係を築いたあとに、相手からほしい情報を引き出す心理術を解説しよう。
山本マサヤ
【山本マサヤ】
心理戦略コンサルタント。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催。これまで数百人に対して仕事やプライベートで使える心理学のテクニックについてレクチャーしてきた。また、メンタリズムという心理学とマジックを融合した心理誘導や読心術のエンターテインメントショーも行う。クラウドワークスの「トップランナー100人」、Amebaが認定するう芸能人・著名インフルエンサー100人に選出
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