政治への諦めを生まないための、最低限の改革策とは?<民意をデフォルメする国会5重の壁・最終回>

田中信一郎
国会議事堂

digi009 / PIXTA(ピクスタ)

誰に有利なデフォルメ?

 これまで解説した5重に壁を振り返ると、日本の政治プロセスは、チカラ・カネ・既得権をもつ者の意見を大きく反映する仕組みになっています。立候補では高所得層に、選挙運動では組織選挙に、選挙制度では大政党に、政党では政党幹部・団体に、国会では与党幹部・与党支持団体に、それぞれ有利な方向でデフォルメされるプロセスとなっています。

 これからの政治プロセスについて、3つの選択肢があります。読者の皆さんは、どれを選びますか?

 A:チカラ等をもつ者の意見を大きく反映する方向で、デフォルメする(続ける)。
 B:世論をできる限りそのまま反映する方向で、デフォルメを小さくする。
 C:チカラ等をもたない者の意見を大きく反映する方向で、デフォルメする(変える)。

 筆者は「B:世論をできる限りそのまま反映する方向で、デフォルメを小さくする」の考え方です。なぜならば、誰もが尊重される社会を定着させ、確実なものとするには、そのプロセスにおいて、誰もが一定の納得感を得ることが大切だからです。30%の意見が30%の議席、10%の意見が10%の議席で配分された国会で、慎重に議論された結果であれば、一部の人に苦い結果となって賛成できないとしても、理解は得られるのではないでしょうか。それは、迂遠なように見えますが、チカラ等をもたない人々にとっても利のあることだと考えます。

 よって、筆者の考えるあるべき政治プロセスの改善案を提案しますが、それはBの考え方に基づいています。チカラ等をもつ人々の履く「ゲタ」を外す提案です。なお、AやCを選択した方は、ご自身で改善案をお考えいただければ幸いです。

 提案に際しては、ベストと考える大幅に変更する案と、現状から小幅に変更する案の2つを提示しています。それらの間で、制度改正が進むことを期待しています。

多様な人々の立候補を促す

 供託金については、廃止することがベストです。多様な経験・知見をもつ人々が議員になってこそ、議席に世論をそのまま反映することにつながります。そのためには、多様な人々が立候補しやすいよう、供託金というハードルを解消することが必要です。

 これは、議員のなり手不足という、近未来の状況に備えることにもなります。既に、人口減少の進む町村では、町村議会選挙への立候補に供託金が不要であるにもかかわらず、なり手が不足し始めています。日本全体で人口減少が進むことを考えれば、国会や他の地方議会選挙でも、物理的な立候補のハードルを解消しておくことが必要です。

 しかし、供託金によって「慎重な決断」を促すということに賛同する人々も、一定数いるでしょう。猫も杓子も乱立して立候補すれば、有権者が混乱し、今以上にひどい議員が増えると考えることは、合理性の是非はさておき、理解できなくもありません。

 そこで、最低限の改善案として、供託金を現行の10分の1にしてはどうでしょうか。衆参の選挙区ならば30万円、衆参の比例区ならば60万円です。金額に根拠はありません。「慎重な決断」を促すには、現行のように年収に相当しなくても、1~3か月分の月収に相当する額であれば十分でしょう。

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議員を選ぶ「仕組み」を変える

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