照明は、ひとつひとつの消費電力は小さいが、家中の照明をすべて合わせると、冷蔵庫以上の電気を消費している。LED電球は省エネ効果が抜群で、価格も大幅に下がっている。現在も白熱電球を使用しているようなら、すぐにでも換えたいところだ。
白熱電球は、電気エネルギーの9割を明かりとしてではなく、熱にして捨ててしまっている。もったいないだけでなく、夏などは空調の効きの悪化にも影響するので積極的に見直したい。トイレや物置、玄関など、長時間使用しない場所には、人感センサー付きのLEDを使用すれば、消し忘れがなくなり省エネになる。
エアコンは通常「畳数」で選ばれているが、冷暖房したい部屋の大きさだけでなく、家の断熱性能などによっても適切な出力は変わってくる。工務店や家電量販店では、「冷えない」「暖まらない」というクレームにならないよう、スタッフが実際の畳数よりも大きめな出力を薦めがちだ。しかし、オーバースペックの設備を設置すると、初期投資だけでなくランニングコストも余分にかかるので、本当にそのサイズが必要なのか、自室の断熱性能などと合わせて選びたい。
あまり知られていないが、消費電力の5位は暖房便座だ。他の家電に比べてほんの僅かな時間しか使わないだけに、つけっぱなしにするのはあまりに非効率と言える。これは買い替えというより、使い方の工夫で省エネしたい。暖かい季節には電源を切り、使ったとしても設定温度を控えめにしたい。根本的な問題はトイレが寒いこと。おしりだけ温めるのではなく、トイレ全体の気温が下がらないよう、内窓設置などトイレの断熱を検討するのが合理的だ。
出典:COOL CHOICEしんきゅうさんウェブサイト
今回紹介した照明、冷蔵庫、テレビ、エアコンなどは、年間の消費電力が大きいだけに、「壊れるまで使い続ける」という発想は切り替えたい。電気代だけでなく、CO2排出量やライフサイクルコストの観点から見ても、ある程度の年数で切り替え、リサイクルに回していくことが望ましい。環境省が運営する省エネ製品買替えナビゲーション
「しんきゅうさん」では、省エネ製品に買い替えるとどれくらい電気代やが減らせるかというシミュレーショができる。家庭の機種を入力して数値を確認したら、交換のタイミングを検討してほしい。
◆ガマンしない省エネ 第7回
<文/高橋真樹>
ノンフィクションライター、放送大学非常勤講師。環境・エネルギー問題など持続可能性をテーマに、国内外を精力的に取材。2017年より取材の過程で出会ったエコハウスに暮らし始める。自然エネルギーによるまちづくりを描いたドキュメンタリー映画
『おだやかな革命』(渡辺智史監督・2018年公開)ではアドバイザーを務める。著書に『
ご当地電力はじめました!』(岩波ジュニア新書)『
ぼくの村は壁で囲まれた−パレスチナに生きる子どもたち』(現代書館)ほか多数。