ドリンクサービスや丁寧な説明が裏目に。失敗する企業研修、意外な要素

手厚いサポートが参加者の意欲を下げる

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 以前、この連載で紹介したように、企業研修では任意参加で希望者先着順、受付で出席のチェックをしない、名札は用意せずに自分で書く、どの席に座るかは参加者の意思にまかせる……。そのように運営すれば、参加者のモチベーションを高め、演習成果を上げる効果がある。  しかし、実際には研修は強制参加させなければならない、出席をチェックしなければならない、名札を準備して座席図を用意しなければならないという固定観念がはびこっている。  固定観念はいまだに根強い。私がトレーナーを努める演習では、運営スタッフに「自由席で実施しますから、座席図の用意は不要です」とあらかじめ伝えておく。参加者自身が座りたい席を、自分で選んで座っていただくためだ。  ところが、運営スタッフは「参加者をサポートしなければならない」という一心で、空いている席の、それも前の方から「こちらに座ってください」と案内してしまうことが多い。それでは、参加者が自分の座りたい席を自分で選ぶことは適わない。結局、席を押しつけられてしまい、モチベーションを下げた状態で研修が始まることになる。  そんな経験をしてからは、運営スタッフに「席は自由です。座席図は不要です。席への案内も不要です。私が『お好きな席へお座りください』と案内します」と細かくガイドするようになった。実は「運営スタッフの仕事なので」「参加者をサポートしなければならない」という思いが、参加者の意欲を低下させてしまっているのだ。

飲み物を用意しないほうがいい理由

 同様の事例は、まだある。運営スタッフは参加者に飲み物を用意して、それぞれの席に提供しなければならないという固定観念だ。たとえばコーヒーと水を用意して、配膳するケースがある。  「参加者へのサービス精神への現れで、少なくないコストをかけて用意して、飲み物を提供して何が悪い」という声が聞こえてきそうだが、コーヒーと水を押しつけるということが、参加者の意欲を低下させるのだ。  コーヒーと水を用意して提供するくらいなら、各自、自分の飲みたいものをポケットマネーで会場付近の自動販売機で購入するほうが、まだ参加者のモチベーションが上がるだろう。  運営予算があるのならば、さまざまな種類の、それも目をひきやすいカラフルなデザインの飲み物を数種類ずつ用意して、テーブルの一角に置いておき、参加者が好みの飲み物を選べるようにすればいい。  コーヒーや水が配られるのを、受動的に受け取って飲むということよりも、自分で飲みたいものを選択して飲むということのほうが、能動性が高まるからだ。
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無駄な説明が能動性やモチベーションを削ぐ
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